抜打ち浪人

劇場公開日:

解説

柴田錬三郎の原作『抜打ち侍』を、「不良女学生」の佐伯清が脚色・監督、「大名囃子 (前後篇)」の伊藤武夫が撮影した時代劇。主演は「鳳城の花嫁」の大友柳太朗、「黄色いからす」の伊藤雄之助、「恋染め浪人」の花柳小菊、「不良女学生」の中原ひとみ、三条美紀。ほかに神田隆、柳氷二郎など。

1957年製作/92分/日本
配給:東映
劇場公開日:1957年5月20日

ストーリー

正木弥九郎は、旗本二千石の祿を捨て、幕府の政道の不備を糺すべく大阪天満与力、大塩平八郎の許に身を寄せていた。しかし、平八郎らが倒幕の前捷として挙兵することに反対して、彼は再び師一丸一斎の教えを仰ぐべく江戸に戻って来た。だが、大塩平八郎の乱に驚愕した幕府によって、尊皇の漢学者一斎は伝馬町の獄につながれていた。弥九郎は単身一斎の救出を決意した。--一方、彼には修業時代の友人の秋沢壮典がいたが、壮典は以前彼に試合で敗れたことから、その後剣を磨き真剣勝負で雪辱せんと待ち構えていた。彼は江戸で一先ず彼を慕う巾着切の三太と、その妹お静の長屋に身をかくした。彼を狙うものに壮典の外、俣野俊八郎がいた。俊八郎は、妻花代が以前彼と恋仲であったことに嫉妬しており、更に今では旗本八万騎を取締る評定所御目付役であったので、旗本を脱退して尊皇に走った彼を討たんと他の同志たちとその動静をうかがっていたのであった。一斎救出に動き廻っている弥九郎は一度ならず幕府の捕吏、俊八郎ら刺客団に取り囲まれたが、そのたびに一対一の決戦を望む壮典の助勢で危機を脱していた。また、ふと知り合った若い芸妓美代次、吉原の花魁桔梗も身を投げ打って彼の難を免れさせていた。だが、次第に幕府の捕吏や刺客団の力が加わってせっぱつまった弥九郎は、老中職を隠居の身とはいえ隠然たる勢力を持つ花代の父、森河近江守の許に行く。そこで一斎が磔刑に決ったと聞かされ愕然とした。その処刑の日、単身刑場に乗り込んだ彼は思いがけぬ近江守のさし向けた虚無僧の一団の助太刀で無事一斎を救出した。そして、その足で彼は壮典との一騎討ちに向った。激闘数合、剣鬼壮典は遂に弥九郎の白刃に倒れた。みつめる弥九郎の目には熱い涙が湧出ていた。

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