喧嘩道中
劇場公開日:1957年5月12日
解説
「旗本退屈男 謎の紅蓮塔」の比佐芳武のオリジナル・シナリオを「大名囃子 (前後篇)」の佐々木康が監督、「ふり袖捕物帖 ちりめん駕篭」の坪井誠が撮影した東映スコープによる股旅もの。主演は「若さま侍捕物帳 深夜の死美人」の大川橋蔵、「鞍馬天狗 角兵衛獅子(1957)」の千原しのぶ、丘さとみ、コロムビアの歌手、花村菊枝。ほかに原健策、高堂国典など。黒白。
1957年製作/80分/日本
劇場公開日:1957年5月12日
ストーリー
江戸蔵前で札差屋を営む豪商戸倉屋彦兵衛は、一人娘おたかを松平伯耆守の部屋勤めに送り込んで己れの栄華を誇ろうとした。だが、その婚礼の晩、おたかが姿を消してしまったのだから、彦作はもち論、松平江戸家老高坂も大あわて。ただ一人、戸倉屋の隠居彦右衛門だけはおたかの行先を知っていたが……おたかの行方に五百両の金がかけられた。この金目当に、おたかにまつわりつく飛脚の三吉、旅人呑みこみの金介、鳥追おかつらの一行。絡み絡みあって一行は三島の宿に来た。折しもこの宿に姿を現わしたのが草間の半次郎。彼は、三年前戸倉屋の伜彦作に身を汚されて姿を消した妹お雪を探し求めているのだ。おたかは一眼見て半次郎に惚れた。沼津の宿でまたまた出会った半次郎に、おたかは酔った揚句にしだれかかり、そのまま酔つぶれた。それを知ってか知らずか、彦作、高坂の一味がおたかを追ってきた。--東海道を上って由井の宿。妹のお雪を捨てた男が兄彦作と半次郎に聞かされたおたかは、今はぞっこん惚れ抜いた男のために、お雪を探し求める決心。ところが、お雪は鞠子の宿の宿女郎に売られたが患いの床に明日をも知れぬ命と聞いて半次郎、おたかは素飛んだ。お雪は、彦作がなつかしいと一言いって死んでいった。そこへ、お雪が死んだと伝え聞いて、彦作が駈込んできた。一旦は手にかけた長脇差も、うなだれる彦作の姿に半次郎は一人の妹を大事にしなせえと身を引いた。その後、彦作が縁談を断ったのに、おたかは高坂の手先赤戸一味に掠われた。さっそうと半次郎が長どすを抜いた。そのまま赤戸一味を斬って捨てた。--半次郎の粋姿にいまは晴れてのおたかの嬉し泣きが後を追った。夫婦鴉の街道筋に、とんびが高く輪をかいて。