坊ちゃんの逆襲
劇場公開日:1956年12月5日
解説
芸能の各分野からヴェテランを総動員、一人三役(製作・監督・音楽)の近江俊郎が「思い出月夜」についで発表するサスペンス喜劇。原作は「金語楼の天晴れ運転手物語」の川内康範、脚色は川内と近江の共同、撮影は「思い出月夜」の杉本正二郎。主な出演者としては「空飛ぶ円盤 恐怖の襲撃」の高島忠夫、「新妻鏡」の池内淳子、「恋すれど恋すれど物語」の古川縁波、「金語楼の天晴れ運転手物語」のジョージ・ルイカー、ほかに坊屋三郎、落語の柳亭痴楽、漫才のコロムビア・トップ、ライト、流行歌手の藤沢桓夫、“女だけの部屋”でジャーナリズムを賑わせた河上敬子、NDT出身の山田美奈子など。
1956年製作/73分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1956年12月5日
ストーリー
チビの南条が腰巾着のようにクッツイている元子爵、高田祐二は、叔父である富士ウィスキー社長を訪れ、平社員として働くことにする。彼は以前から、社長の娘と婚約していたが、戦災で居所が判らない。祐二は孤独な社長に、娘を探し出すと誓う。会社の青木部長は、よからぬことを企んでいたが、与太者に追われた孤児の娘裕子を救ったことから、彼女を偽社長令嬢に仕立てようと思いつく。青木を恩人と考える裕子は止むなく承諾。社長は大喜びだが祐二は青木の態度を不審がる。青木の計画は次第に進展、だがその中、社長秘書八重子は、自分を口説き落そうとしている鳴瀬課長の不審な挙動に彼をつけたところ、会社製品のレッテル張り替えの現場を見る。一方、倉庫の見廻りをしていた祐二も、ウィスキー持出しを発見したが逃げられてしまった。青木はボスの銀島、バイヤーのステンレスと結託しウィスキー密輸を相談していた。こうした折自殺を計った八重子の遺書から、祐二は彼女を犯したとの社長の誤解を受ける。その頃、青木は彼の持ち出した輸出契約に社長が思案顔なのを見て、事は急と裕子を脅し、社長印を盗ませようとする。だが社長が遂に印を押そうとした時、一味の脅迫で東京を去ろうとした八重子が祐二と飛び込んで来る。彼女の話で一切は判明。改心した鳴瀬の告白から、祐二と警官隊が東京港埠頭に急行、密輸寸前のウィスキーを一味共々押える。正体のバレた裕子も、社長の熱願で親子として暮すことになり、祐二は裕子と、結ばれる。