夏の嵐(1956)のレビュー・感想・評価
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力強い作品
イタリア統一のため快進撃が続くガリバルディを信じ、ロベルトは流刑という扱いに甘んじる。伯爵夫人は彼との別れを惜しむが、原因となったフランツ・マーラー中尉に再会しよろめいてしまうのだ。ロベルトを助けるには夫ではだめだ。なんとかオーストリア将校に頼まねばと恥をしのんで将校たちの宿舎へ向かうリビア。そんなことは口実で中尉に会いたいがための行為。そこから深く恋に落ちる二人だった・・・
ストーリーはアリダ・ヴァリの語りが中心となって進められる。この声がなんとも艶っぽく、いかにも恋に落ちた中年女といった雰囲気を醸し出していた。戦争も始まり、ベネチアと敵対するオーストリアとの間と同じく、彼ら不倫の恋にも溝が入る。貴族だから金もある。ずっと一緒に過ごしていたい。戦争で死なせたくないという思いから、金で軍医を買収して兵役から逃れさせる方法を思いついたのだ。
それでも戦闘態勢にあった町が2人を引き離し、命からがら会いに行き、再会できたと思ったら、逃亡兵扱いされたフランツが彼女の渡した金で娼婦までも買っていたのだ。荒んだ生活、英雄とも呼ばれなくなった身分、自暴自棄となった心から、彼女を詰るばかりのフランツ。やがて彼女は密告により彼を逮捕させようとするのです。
ストーリーもしっかりしていて、不倫物語ながら激化する戦争を舞台に力強く描いてある。無謀な恋に溺れる姿もさることながら、臆病な兵士になると大変だという理不尽な世界を見事に描き、虚しい銃殺のラストシーンで胸に響いてくる作品。下手をすると徴兵義務を正当化するよために利用されかねない内容なので、そこだけが気になった・・・
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