剣法奥儀 二刀流雪柳
劇場公開日:1956年5月18日
解説
雑誌“オール読物”所載の五味康祐の原作『剣法奥儀・知心流雪柳』を「無敵の空手! チョップ先生」の結束信二が脚色、「若さま侍捕物帳 地獄の皿屋敷 べらんめえ活人剣」の深田金之助が監督した“剣豪シリーズ”の第二作である。撮影は「続源義経」の吉田貞次。主な出演者は「快剣士・笑いの面」の伏見扇太郎、岡譲司、「悲恋 おかる勘平」の千原しのぶ、「剣豪二刀流」の荒木忍、「父子鷹」の高松錦之助、加賀邦男、楠本健二など。
1956年製作/58分/日本
劇場公開日:1956年5月18日
ストーリー
膳所藩の剣道指南役志賀十兵衛の一人娘梨香は、その美貌とともに大小二刀を使う知心流の秘剣「雪柳」をもって名を唱われていた。家老の脇月主膳は、同職の上原主人正との勢力争いに梨香を利用、その腕で上原の推挙した武芸者を惨敗させた。上原の用人高浜は激怒する主人の不興を柔げるため八方に著名な武芸者を求めたが、白羽の矢は阿波の国の郷士中島清五兵衛の一子、十八歳の宗吉に立った。有馬流の流れを汲む宗吉の剣は気違い剣法と呼ばれるほど鋭かった。高浜の請いを受け宗吉は引止める恋人おせいを残して旅立った。試合当日、梨香と未知の宗吉の対決に膳所藩は沸き立ったが、その結果は梨香の敗北に終った。敗れた梨香に脇月の眼は冷く、その上脇月の子甚四郎の求婚を断ったとあっては……。失意の梨香をある日、宗吉が訪れた。宗吉は、過日の試合で、梨香の大剣が上原の計略で築山から射られた矢をはね返すために敗れたことを知り、精妙な「雪柳」の秘技を教えてくれと乞うのだった。以来真意に打たれた梨香と宗吉の修業が続けられたが、二人の間を嫉妬した甚四郎は、宗吉の留守に上意と称し十兵衛と素手の梨香を斬った。それから二年、乞食のような姿の宗吉が荒れ果てた志賀道場に現われた。駈けつけた甚四郎の前に、一本の柳の枝を握った宗吉が立っていた。一斉に斬込む四人の相手を風のようにかわした宗吉の手に、いつの間にか大小二刀の剣が光り、一瞬にして甚四郎らは倒れた。「梨香殿、雪柳の太刀、これで宜しかろうか……」宗吉の眼からは涙が溢れ、高浜に連れられたおせいを伴い、そのまま、故郷阿波の国へと立ち去って行った。