剣法奥儀 秘剣 鷹の羽

劇場公開日:

解説

“オール読物”に掲載された五味康祐の剣豪小説を、「快剣士・笑いの面」の結束信二が脚色し、「鍔鳴浪人」の内出好吉が監督した。撮影は「名君剣の舞」の松井鴻。主な出演者は、「白扇 みだれ黒髪」の東千代之介と長谷川裕見子、原健策、「水戸黄門漫遊記 怪力類人猿」の月形龍之介と千原しのぶなど。

1956年製作/67分/日本
劇場公開日:1956年4月4日

ストーリー

備州池田藩の指南役市森左太夫は天覧試合の結果、日本一の折紙をつけられた。帰途、彼は京僧流の名人烏山永庵と知り合った。二人が泊った宿の主人は剣術自慢で二人に試合を申込んで来た。その際、左太夫は主人を打ちすえる永庵の太刀捌きに目をみはった。左太夫は、相手の太刀を受け、それがそのまま相手を倒す攻撃の太刀となる永庵の剣を見、その会得を志した。岡山に帰った左太夫の家に、ある日、許婚の家老の娘千春が訪れ“鷹の舞”という舞を舞ってみせた。その舞姿の中に左太夫は、己が求める剣法の奥義に似たものがあるのを感じた。それがなんであるか、彼にはよく判らなかったが、なんとかしてその姿を極めようとし、以来彼の放心が始まった。その姿は余人には狂気と見えた。召使のおきくは左太夫の身を案じ、彼の側を離れなかった。ある時、君公光政の前で荒法師是念との試合が行われた。指南役として出場した左太夫は是念を十分圧倒したが、決して打ちこまず、他処目には彼が敗れたと見えた。浪々の身となった左太夫は“斬らずして斬る”剣法の会得修業に全身を打ちこんだ。おきくの献身のうちに二年の月日が流れ、ある雪の日、遂に左太夫は奥義を会得した。やがて永庵に伴われて再び光政の前に出た左太夫は今は彼に代って指南役となっている瀬川玄之助と試合をした。玄之助の希望により試合は真剣で行われた。玄之助の打ちこむ太刀を左太夫は受けた。玄之助は体を引いて刀をふりあげたがそのままの姿勢で倒れた。斬らずして斬る剣の妙技に人々は感嘆した。左太夫は空を見つめて只一言「鷹の羽」と呟いた。

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