高校卒業前後
劇場公開日:1956年3月11日
解説
雑誌「キング」所載の中村八朗の小説を「姿なき一〇八部隊」の共同脚色者の一人、須崎勝弥が脚色し、「哀しき富士の白雪よ」の浜野信彦が監督、「新妻の寝ごと」の高橋通夫が撮影を担当した。主なる出演者は「薔薇の絋道館」の市川和子、「虹いくたび」の市川春代、「恋と金」の清川玉枝、鶴見丈二、梅若正義など。
1956年製作/86分/日本
劇場公開日:1956年3月11日
ストーリー
小島房代は飛行家だった夫の死後、製図の内職をしながら京子と宗平の二人の子供を育てた。小島家に下宿する本田祐介は恋人の松本たづ子と結婚したいと思ってはいるが家がない。小島家の婆やおゆきさんはアメリカに長い間いたので英語がうまかった。もう一人の下宿人の大学生牧山純吉は卒業を前に控えて就職試験に落ちてばかりいる。楽ではない家計を知っている京子は高校だけであとは働く決心をし、ある会社の入社試験を受けるがはねられてしまう。その次の会社も駄目であった。宗平は姉にステュアデスになれとすすめるが、飛行機を嫌う母の気持を知っている京子は躊躇する。祐介から片親のない子は就職が困難だときかされた京子は絶望のあまり不良仲間と交際を始めるが、京子の身を案じる友人の岡田に諭され勇気を取り戻した。折しも純吉の就職が決定した。京子も母に内緒でステュアデスの募集に応募してみることにした。英会話をおゆきさんに習い、当日試験官の前に立つとまたしても父親のことをきかれた。京子は「何故世の中は片親のない子に職を与えようとはしないのですか」といって泣いた。試験官達は京子の言葉に感動した。やがて祐介は家を見つけたづ子と結婚するために小島家を出ることになった。その送別会の日に京子の採用通知が来た。母の気持を考えてステュアデスになるのを止めようとする京子を若者達はみんなで励ました。かげでその言葉をきいていた房代も自分の勝手な心を改めた。やがて春が来て、旅客機の中に、元気に希望をもって働く京子の姿が見られた。