白井権八

劇場公開日:

解説

『小説新潮』所載の舟橋聖一の小説を「十代の反抗」の舟橋和郎が脚色、「オテナの塔 (前篇)」「オテナの塔 (後篇)」の安田公義が監督、「荒木又右衛門」の竹野治夫が撮影を担当した。主なる出演者は「オテナの塔 (前篇)」「オテナの塔 (後篇)」の中村扇雀、「花嫁会議」の岡田茉莉子、「復讐浄瑠璃坂・二部作」の扇千景、「北海の叛乱」の高田稔、「右門捕物帖 恐怖の十三夜」の雅章子、杉山昌三九など。

1956年製作/87分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1956年2月12日

ストーリー

因州鳥取の城下。白井権八を慕う乙女織江は、権八の父庄左衛門と犬猿の仲である本庄助太夫の妹だ。助太夫は自分が懸想していた権八の母お澄が庄左衛門に嫁したのを根に持っているのだった。藩の治水工事に庄左衛門と助太夫の意見は対立、重役にとり入った助太夫に敗れた庄左衛門は自害し果てた。母と二人暮しになった権八は治水工事で水門詰となるが、助太夫の従兄で織江に懸想する助五郎は権八に辛く当るのだった。ある日、肋太夫は卑劣にもお澄を浚って無理矢理に想いをとげた。駈けつけた権八は助太夫を斬り伏せ、故郷をあとにした。織江も権八を追って江戸に向い、助五郎も用人棒の大岡紋斎をつれて権八を討つため旅立った。権八は鈴ヵ森で雲助の手から江戸一番の絹問屋の母娘を救ったのが縁で、その家に草鞋をぬいだ。つきあいで吉原に遊んだ権八を見染めたのは松の位の傾城小紫だったが、その小紫に執心の客に大岡紋斎がいた。紋斎は小紫と権八を争っている傾城の葛城から権八のことを聞き、小紫の部屋に乗り込んでいった。助五郎の助太刀と知った権八は刀を抜いて応じ、紋斎と駈けつけた助五郎を倒した。が、権八は過って葛城をも斬ってしまった。権八と小紫は御用提灯にかこまれた。夢中で捕吏を斬り払った権八も、やがて観念して召捕られた。引廻しの権八を見物人のかげから、じっと見つめるのは織江だった。絶望のあまり織江は自害し、権八もいさぎよく刑場で処刑をうけた。その頃、故郷ではようやく治水工事の功績がみとめられた亡き夫庄左衛門の碑の前に、お澄が遠い江戸で処刑されるわが子を想って、泣き濡れていた。

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