乳房よ永遠なれのレビュー・感想・評価
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名作
大変な傑作だった。望まぬ結婚を強いられ、実家に戻り歌会に参加した女性が、短歌に込めた悲哀。そしてやがて乳がんとなるが、歌が認められ、新聞に掲載され、東京からきた若い新聞記者と出会う。彼女の生活は抑圧の中にあったが、乳がんとなってから、人生を取り戻すかのように自由奔放となっていく。しかし、それは死の恐怖と隣り合わせで、自暴自棄にも見える。この二重性が強烈に映画を奥深いものにしている。
主人公の病室の窓から見える中庭に縦に伸びる廊下が見える。向かいの病棟には遺体安置所がある。死への一本道を象徴するようなこの廊下の不気味さが画面に緊張感をもたらし、物語の中でも効果的に用いられている。
手鏡ごしに目があう主人公と男性の目が合うショットは大変に印象的で、田中絹代は相当に力の映画作家だなと思った。乳房と言う女性を象徴するものを無くしてから、主人公はむしろ女性として、人として開花していく。その構造自体で、女性に向けられた苦難を描き出す。すごい映画だ。
唯一残しうる死を子等よ受け取れ
Amazon Prime Video(日活プラス)で鑑賞(4K復元版)。
原作は未読。
女性の象徴である乳房を切り取られたのに、逆に女性としての魅力を増すふみ子。死の恐怖に苛まれつつも(霊安室に続く一本道が、その恐怖を強烈に観る者に突きつける)、人生を取り戻そうとするかの如く奔放に振る舞う姿に戸惑いを覚えました。しかしながら、その姿は自暴自棄とも解釈出来、ふみ子の二面性を見事に表現した月丘夢路の名演に引き込まれました。
昭和女の悲劇。 意に沿わぬ結婚。夫の浮気。女手での子育て。そして乳...
昭和女の悲劇。
意に沿わぬ結婚。夫の浮気。女手での子育て。そして乳がん。女性にとってはまだまだ生きづらい時代だったんでしょうね。
女性の手による女性の映画。なんとも重いものを感じる。最後の恋は幸せだったのでしょうか。
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