かりそめの唇(1955)
劇場公開日:1955年8月24日
解説
北条誠の原作を「「岸壁」の馬場当が脚色、新人の番匠義彰が第一回作品として監督に当る。撮影は「修禅寺物語」の生方敏夫、音楽は「ふり袖侠艶録」の万城目正の担当。出演者は「お嬢さんの求婚」の川喜多雄二、「愛情会議」の藤乃高子、浅茅しのぶ、「「春情鳩の街」より 渡り鳥いつ帰る」の淡路恵子、「修禅寺物語」の草笛光子など。
1955年製作/110分/日本
劇場公開日:1955年8月24日
ストーリー
その一・たそがれの過失--水野書房という貧乏出版社に勤めるかたわら夜間高校の教師もやっている早見哲夫は、伯父の実業家津田剛造の会社へも入らず、自力で生きることを誇りとしていた。早見に積極的な愛情を寄せる剛造の娘千春は、早見をドライブに誘い、そのため子供を轢きかけてしまった。それにより、早見はその子の母親の浅野志津と、西沢病院の看護婦小見山由紀子と知った。由紀子は医者の西沢に愛され、そのため他の看護婦の嫉妬を受けて病院をやめた。一方、早見は偶然の機会から、志津が津田のかこい女であることを知った。しかし志津は早見を知って初めて、自分の力で生きようと決心した。その二・幸福の岸--北野書房に融資させるため津田の機嫌をとる必要のあった北野は、箱根で芸者をしている志津を呼び戻す役を早見に頼んだので、早見は辞表を出した。退職金で箱根へ出掛けた早見は、図らずもそこで志津に出会い求愛されたが、偶然その場に居た由紀子の誤解を受け、又診察に同行した西沢を見て、早見は由紀子を誤解した。津田は汚職で召喚され、千春は自分の今後を北野に相談したが、彼は巻き添えを恐れるばかりか千春をおかしてしまった。由紀子は西沢に云い寄られて大阪の加奈子の許に身を寄せたが、志津に出会って早見の心が自分にあることを知った。津田は京都で自殺した。志津は初めて心から津田を愛している自分を知り、その姿に千春も彼女のすべてを許したのである。