忠治外伝 火の車お万
劇場公開日:1954年11月30日
解説
青木義久の原案から木村重夫が脚本を書き、「懐しのメロディー」の津田不二夫が監督し、「神風特攻隊」の星島一郎が撮影する。主なる出演者は「継母」の月丘千秋と高木二朗、「お夏清十郎」の堺駿二と川田晴久、「日本敗れず」の佐々木孝丸などで、広沢虎造が自身出演するほか浪曲口演も担当している。
1954年製作/76分/日本
劇場公開日:1954年11月30日
ストーリー
上州国定村綱取明神のお祭で、燃え上る花山車の中から幼女を救い出し、島村の伊三郎身内に啖呵を切った女やくざお万を、それ以後人は火の車お万と呼ぶようになった。女だてらの賭場通いに連日の酒びたり。名主の家に生れた彼女は、父の好みで剣術を学び、生さぬ仲の母と妹への義理立からいつか男同様の乱行に落ちていた。片肌抜いたお万の姿に、板割の浅太郎は痛罵を浴せたが、なぜか二人は互いに心をひかれた。そのお万に好色の目を注ぐ島村の伊三郎は、イカサマの丁半で彼女を手に入れよぅとしたが、それを見破ったお万に啖呵を切られ、島村一家が長脇差を抜きつらねた時浅太郎が駈けつけて救出した。お万と浅太郎が山路を辿っての帰り道、二人の胸は結ばれた。然し押しよせた島村一家の者を斬った浅太郎は兇状を負って旅へ逃れ、お万は堅気に帰ろうと料亭叶屋の女中として働いた。伊三郎は横恋慕のかなわぬ恨みに、お万の妹かのの亭主才吉を脅迫まじりに賭場へ誘いこみ、上納金五十両を捲上げた上、家屋敷を抵当に百両の証文を書かせた。怒った父定右衛門は病床の身を伊三郎の家に詰めかけて責めつけ、ついに伊三郎のために殺される。お万は再び鉄火に帰り、単身伊三郎になぐりこみをかけ、これを知った国定一家は忠治を先頭に助太刀にかけつけ、丁度旅から帰った浅太郎も加わった。堅気になるとの約束も今は無駄となり、お万は見事伊三郎の首をとった。かくて思い思われつつ、お万は雪の越後路へ、浅太郎も忠治と共に、別れ別れの旅に出た。