母恋人形
劇場公開日:1954年6月22日
解説
竹田敏彦の原作“燃ゆる乳房”より「雲は天才である」の館岡謙之助が脚本を書き、「続水戸黄門漫遊記 副将軍初上り」の伊賀山正徳が監督している。撮影は「三代目の若旦那」の西川庄衛。出演者は「三代目の若旦那」の星美智子、「五ツ木の子守唄」の松島トモ子、「少年姿三四郎 第一部山岳の決闘 第二部大川端の決闘」の波島進、船山汎、月丘千秋などである。
1954年製作/101分/日本
劇場公開日:1954年6月22日
ストーリー
恋人晴吉を訪ねて房州海岸より上京した登美子は、晴吉の子を宿したまま捨てられた。途方にくれている彼女は、インテリ崩れのポン引鉄にいかがわしい飲食店に連れこまれるが、因業な亭主の激しい折檻に耐えず逃げ出した。鉄は始めて良心の苛責を感ずる。登美子は故郷に帰って女児を出産するが、世間態をはばかる父によって直ちに他人に渡された。心迷う登美子は折も折晴吉の結婚に、晴吉の家に放火して五年の刑を宣告された。歳月を経て出獄した登美子はただ一つの心の寄りどころトシ子を取り戻そうと上京して、今は真面目な生活に入った鉄と再会し、病める身を伊豆の療養所に送られた。その頃、トシ子は旅芝居庄六一座の子役として童謡を歌っていたが、たまたま通り合せた音楽家牧夫妻に救われた。登美子は或る日、牧夫妻家庭訪問のラジオ放送から初めてトシ子の声を聞き、彼女は鉄と妹絹子につき添われて牧邸の門をくぐった。しかし幸福に暮しているトシ子の姿に、登美子はすべてを諦め、近く音楽修業に海外へ旅立つ牧夫妻に一切を託した。牧夫妻とトシ子が日本を離れる日、岸壁に佇む登美子の悲しげな肩を鉄は力強く抱いた。