投げ唄左門一番手柄 死美人屋敷
劇場公開日:1954年5月23日
解説
大映が新しく取上げた捕物シリーズで、「怪盗まだら蜘蛛」の民門敏雄のオリジナル脚本により、「妻恋黒田節」の荒井良平が監督する。撮影は「番長皿屋敷 お菊と播磨」の杉山公平、音楽は「風流あじろ笠」の高橋半の担当。出演者は「醉いどれ二刀流」の黒川弥太郎、「花のいのちを」の伏見和子、「春色お伝の方 江戸城炎上」の野上千鶴子、「花の長脇差」の南条新太郎、「殴り込み孫悟空」の三上哲、「醉いどれ二刀流」の三田登喜子などである。
1954年製作/85分/日本
劇場公開日:1954年5月23日
ストーリー
朧月夜の神田橋で南町奉行所の同心杉坂主水が捕えた怪しい山男のつづらの中に、凄艶な美女の死体が発見された。この山男は口が不自由であったので、一旦釈放して尾行することによって、絵の師匠加代の家をつきとめたが、そこは惨事の跡歴然で、死体は加代と判ったが、丁度ある笛師の届けてきた笛の銘をみて、天満与力陣内綺十郎は、堺の豪商倉島昆陽の遺産、二十万両を相続すべき落し種の姉妹の一人と断定した。又その現場に主水の友人森友之助の所持品が見出され、疑いをかけられた彼を主水は止むなく捕縛した。主水はこのことを、今一人の友人左門に急報したが、左門の妹さよは友之助の婚約者であった。左門とは町奉行の甥で、独身の浪人者。釣は下手だが唄は上手で女子供にまで人気のある伊達男、人呼んで投げ唄左門という。暫く後に友之助は脱獄して左門とさよを訪ね、自己の潔白を二人に訴えた。彼は事件の当夜、何かにおびえる加代から泊りこみを頼まれたが、それを断って帰ろうとするところを、不意に茶の帛紗のようなもので異様な匂いを嗅がされて倒れたのであった。左門はそれをきいて、茶の女師匠お蓮の家に聞きこみをかけた。一方、神明の矢場での人気娘お京は、死んだ加代に梅型の痣のあることを知り、それが自分の姉だと覚ったが、陣内綺十郎は証拠の笛を持って奉行所へ出頭する様に命じた。しかし出頭の途中、お京は何者かに捕われた。事件の究明に乗り出す左門には脅迫状が舞い込み、さよは虐殺された。だが犯人は意外や陣内綺十郎であって、遺産を横領するため証拠の笛を奪い、お蓮を相続娘に化けさせる計画だった。だが慧眼の左門は之を見破り、陣内を取り押えてお京と友之助を救ったのである。