坊っちゃん社員 前篇
劇場公開日:1954年3月3日
解説
「山の音」についで藤本真澄が製作するサラリーマン喜劇で、“小説新潮”連載の源氏鶏太の小説を「お母さんの結婚」の池田一朗と「誘蛾燈」の山本嘉次郎が脚色、山本嘉次郎が監督する。撮影は「お祭り半次郎」の安本淳、音楽は「花の三度笠」の渡辺浦人が担当している。出演者は「赤線基地」の小林桂樹、「鼠小僧色ざんげ 月夜桜」の藤間紫、「この恋! 五千万円」の伊豆肇、「女心はひと筋に」の河内桃子、「次郎長三国志 第七部 初祝い清水港」の森繁久彌、木匠マユリなどである。
1954年製作/95分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1954年3月3日
ストーリー
ひょんなことがきっかけで東京の本社から南海市の工場に転勤することになったサラリーマン昭和太郎は、車中で派手な女とぶつかり乗客の目をそばだたせたが、駅でおりた太郎がマゴマゴしているとまたその女が現れ、輪タク相乗りで太郎を工場の寮に案内してくれた。彼女はとんぼと名乗る芸者である。工場へ着任の挨拶に行った太郎は所長石山の横柄、副所長今西の狡猾、所長づき矢崎のゴマスリぶりにウンザリし、課長の山田からは到着早々芸者と相乗りとは何事かとキメつけられてクサるが、末席の自分と並ぶ同僚まり子の清純さに少々なぐさめられた。同僚の歓迎会流れでカフェに行くと、女給ナナに一目惚れされ、ナナを目当ての山田課長はその腹いせに太郎を雑用にこき使った。たまたまウサ晴らしに海岸を散歩していた太郎は技師山村に会い、二人は忽ち意気投合、そこへとんぼが加って山村宅で大酒宴となった。その夜とんぼを送った太郎は途中で工員と大喧嘩をしてしまい、工場からはクビにされそうになる。そこへ突如東京から上役が出張してきて、同行してきた岩代が太郎の先輩であることから、太郎は所長一派のスパイに利用され、一派は上役がワイロ事件の取調べにきたことを知った。所長たちは矢崎に詰め腹を切らせてクビにするが、社宅を出た気の毒な矢崎を見て太郎の義侠心は黙っておれず、自分が寮を出て山村の家に世話になる。太郎の廻した奉加帳で、矢崎一家は田舎に引揚げることに決ったが、工場拡張のため、社長がこの土地にやって来たとき、出迎えに出た社員たちの前に現れたのは矢崎だった。皆がおどろくのを尻目に矢崎は社長に向って重大なことを話し出す--。