その妹
劇場公開日:1953年6月3日
解説
武者小路実篤の原作を「女だけの心」の柳井隆雄が脚色し、「処女雪」の原研吉が監督した。撮影は「まごころ」の森田俊保、音楽は「闘魂」の加藤光男が担当している。「落葉日記」の佐田啓二、角梨枝子、「妻」の上原謙、「新東京行進曲」の小林トシ子、「愛欲の裁き」の香川京子などが出演する。
1953年製作/107分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1953年6月3日
ストーリー
画家野村広次は終戦直前爆風のため失明し、止むなく絵筆をすてて文学の道に進もうと決心した。妹の静子は盲目の兄を助けて献身的に仕えたが、叔父信三夫婦は静子が兄のため青春を無駄にすごすことに反対し、重役の息子三郎と見合いをさせた。静子はキッパリとこれを断ったが、そのため寄宿先の叔父の家に居れなくなった。静子は兄の作品を持って評論家の西島を訪れた。西島は同情して快く引越しの金を貸してくれた。兄妹は叔父の家の女中ふみの好意で、その実家の二階に転居した。広次にはかつて綾子という恋人があり、戦災で死んだと思っていたが、実は彼女は広次の旧友で売出しの人気画家高峰の妻になっていた。静子は到底これを兄に告げる事ができず一人悩んでいた。一方、西島の妻芳子は、夫が兄妹に親切なのは静子の美しさに惹かれているのだと思って嫉妬し、卑劣な相川の口からそれを広次に告げさした。広次は動揺した。そこへ不意に綾子か訪れて来たので、事実を知った広次は絶望につき落され、もはや誰も信じないと言うのだった。数日後、静子は西島と箱根に遊び、嵐のため余儀なく一緒に投宿し、益々苦しい立場に置かれた。西島は兄妹から離れる他はなかった。生活に窮した静子は相川に身を売って金を得ようとしたが、それを知った広次は、二人で田舎へ帰ろうと言いだした。やがて生れ故郷の田舎道を、いたわり合いながら歩む兄妹の平和な姿が見られた。