権九郎旅日記(1953)
劇場公開日:1953年2月25日
解説
講談倶楽部所載の田岡典夫の原作を城三平が脚色、「姫君と浪人」、の志村敏夫、平野好美が監督、撮影を担当した。「安五郎出世」の森繁久彌、「アジャパー天国」の伴淳三郎、南寿美子、田中春男、星美智子などが出演している。
1953年製作/89分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1953年2月25日
ストーリー
四国某藩のお留守居組八十石、無外流の使い手なる杉本権九郎は突然三ケ年の江戸表勤番を仰せつかる。火急の君命のうらは、権九郎の許婚加代を豪商樽井屋にとりもって、交換条件に藩財政のアナをうめさせようという腹黒家老の策略である。とは知らずに旅だった権九郎の後を、家老の密命をうけた藩きっての道楽者、鎌田彌助が追う。権九郎に女の味をおしえこみ、加代を忘れさせるためである。かれは途々鳥追いに扮した仇討ちの女やら平家集落の娘やらを権九郎におしつけようとするが成らず、女道中師白狐のおこんと計って色仕掛けでむりやり落そうとする。が、突然捕手にふみこまれておこんは逃亡、身代りに二人は繩目をうけるしまつ。ようやく釈放されて明石の城下に至るや折しも駈落ち中の姫君の相手と見まちがえられ、城内にしょっぴかれる。家老広谷甲斐が姫君で養子の件を膝詰談判はじめると、にわかに彌助は勢いずき権九郎をあおる。権九郎は拒む。あわや血の雨がふろうという間際姫の一言で相手は能役者の沖之丞としれ、権九郎はぷんぷんしながらも引揚げることができた。彌助のあの手この手がさっぱり効験ないのに業をにやした国許では、加代の兄平作に加えて手練れの数人を権九郎追討ちにむかわせる。彼らが二人に追いついたのは東海道は三島附近、永い旅路を共にしていつか心を許しあった道楽者彌助のたすけで、権九郎は彼らに一わたり峯打ちをくわせ、脱藩の決意をかためる。そこへ樽井屋に伴われた加代がかけつけ、樽井屋の翻意によって国許では万事がかたずいたことを告げた。晴れた相模路を、権九郎は加代ともども江戸への旅をつづけた。