母は叫び泣く

劇場公開日:

解説

製作は「坊ちゃん重役」の山口松三郎。比島モンテンルパにある戦犯者の心を歌う「モンテンルパの夜は更けて」を主題歌として、戦犯者を子に持つ母を描く作品。椎名利夫が脚本を書き「愛情の決闘」の佐々木啓祐が監督に、同じく鶴見正二が撮影に当っている。出演者の主なものは、「三百六十五代目の親分」の川喜多雄二、「彼を殺すな」の紙京子、「坊ちゃん重役」の佐田啓二などのほかに、市川春代、吉川満子、三宅邦子その他大船のバイプレイヤーたち。

1952年製作/88分/日本
原題または英題:Mother's Protest
配給:松竹
劇場公開日:1952年10月11日

ストーリー

澤田敬子と高木英樹の結婚披露宴の席で、敬子の実母大澤妙子が敬子の養母菊江に斬りつけられ大騒ぎとなった。取調べの検事に菊江は次のような事情を語った。二十年前、夫を失った菊江は六才の長男進を実家にあずけて五島家へ女中奉公していた。五島家の娘妙子は音楽教師原田と恋仲になり子供敬子を生んだが、五島家では結婚を許さず、妙子は他家へ嫁せられた。菊江は敬子をあずかって暇をとり、進と一緒に育てていたが戦争の混乱で敬子の養育費も途絶え、進は学徒として入隊して行った。菊子は苦しいなかから、あらゆることをして働き、敬子を育て、ようやく原田にめぐり会ってその援助でマーケットに飲み屋を開き、敬子も少女歌劇の生徒となって美しく成長した。その頃、モンテンルパに戦犯として抑留された進から故郷を想う歌を送って来て菊江の胸を悲しみにしめつけた。敬子は音楽部の教師英樹と愛し合い結婚にまで話がすすんだが、菊江の商売をいやしむ英樹の母はそれをしぶった。ちょうどブラジルの珈琲王となって帰国していた敬子の実母妙子が子のないところから敬子を探し求め、新聞がこれを記事に取扱った。原田は敬子の幸福のため大澤家の娘として英樹と結婚させることを菊江に納得させた。当日病床の菊江は堪まらなくなって式場へ出かけるが、式へ出ることを拒絶されたことへの怒りからこの凶行になったのだった。菊江の告白は人々の同情と、またこれに関係した人々の反省を呼んだ。進の歌「モンテンルパの夜は更けて」が英樹によって作曲され、発表会で敬子がこれを歌うその歌声をラジオでききながら、菊江は安らかに死の眠りについた。

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