天城の決闘
劇場公開日:1952年7月23日
解説
虎造の新作浪曲をもととした映画でグラフィック映画の製作になる。越智貞生の脚色を伊藤和夫、真弓典正が協同監督し、福田寅次郎、荒木慶彦が撮影に当っている。出演者は「お染半九郎」の海江田譲二、往年の日活スター日暮里子のほかに大友伸、岡村英司等である。尚、虎造は刑事という変った役で出る。
1952年製作/61分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1952年7月23日
ストーリー
港のキャバレーの用心棒田島健は、兵藤組の親分兵藤の毒牙から逃れようとして追われていたキャバレーの女真理を助けた事から兵藤組に追い廻される身となった。二人がほとぼりをさます為にやって来た奥伊豆の生活は、健に真理への愛情を呼び起した。ある日二人は偶然絵を描きに来ていた黒木幸夫に逢った。幸夫は真理の幼馴染で、意外にも健とは戦友であった。健の気持も知らぬ真理は、幸夫の芸術家らしい素朴に態度に惹かれ、ひたむきに幸夫に迫っていった。幸夫も健を裏切るのを苦にしながらも次第に心惹かれていった。一方兵藤は健と真理を追って奥伊豆へ迫り、子分達に命じて健を縛らせ、逃げ仕度をしている真理に獣欲に輝く眼をとびかからせた。かよわい女の抵抗もあわやと云う時、兵藤の妾の安子に救われた健がかけつけてきた。そそり立つ天城山中、健と兵藤の死力を尽くした男と男の決闘。遂に兵藤は健の一撃を受けて千仭の谷に蹴落されて。そして東京に立とうとしている幸夫と真理の手を握って、「幸せに暮してくれ」と云うのだった。二人の乗った汽船が静かに港を出てゆく。刑事の前に素直に両手を差出した健は、遠ざかってゆく船を見送ると、やがて、トボトボと淋しく曳かれて行くのだった。