父帰る
劇場公開日:1952年6月18日
解説
製作は「黄色い鞄」の大町龍夫。菊池寛の名戯曲から、「お景ちゃんと鞍馬先生」の長瀬喜伴がシナリオを書き、新人堀内真直が監督に当たっている。撮影は、「腰抜け 伊達騒動」の服部幹夫。出演者は、「郷愁」の徳大寺伸、「早春二重奏」でデビューしたSKDの故里やよいの他、河村黎吉、紅沢葉子、青山宏などである。
1952年製作/46分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1952年6月18日
ストーリー
おたかは、夫の宗太郎が情婦とともに出奔してから、賢一郎、新二郎、たね子の三児を抱えてマッチ箱貼りの内職などをしながら暮らしを立てた。賢一郎は小学校を卒業後は会社の給仕をしながら夜学に通い、二十年後の今日、役所の係長にまでなり、新二郎もたね子も会社に勤めて、一家はようやくゆとりのある楽しい生活を過ごせるようになっていた。たね子には賢一郎の知人からの縁談もあったが、彼女は会社の同僚園田と結婚の約束をしていた。賢一郎はそれを知って失望し、彼に隠していたことを激しく怒りもするが、母と弟の取りなしで、結局温かく許してやるのだった。しかし祭の日、消息を絶ったままの父が落ちぶれ果てた姿で帰ってきた時、おたか、新二郎、たね子の三人は喜んで彼を迎えるが、賢一郎は断固として父を許そうとはしなかった。再び家を出ていく父の後を、新二郎たちは追っていった。鉄道線路にしょんぼりたたずむ父の姿を見つけた時、その線路の向こう側から「お父さん!」と呼んで駆け寄ってくる賢一郎の姿が見られた。