右門捕物帖 謎の血文字
劇場公開日:1952年5月22日
解説
「上海帰りのリル」の竹中美弘が製作に当たり、佐々木味津三の「右門捕物帖」のうちの「右門捕物帖 謎の血文字」から、「あばれ熨斗」の安達伸生がシナリオを書き、「エノケンの豪傑一代男」の荒井良平が監督している。撮影は「青空浪人」の河崎喜久三である。出演者の主なものは、「鞍馬天狗 天狗廻状」の嵐寛寿郎、「夢よいづこ」の浜田百合子と月丘千秋のほか、鳥羽陽之助、渡邊篤、深川清美、瀬川路三郎などである。
1952年製作/91分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1952年5月22日
ストーリー
島原の乱が松平伊豆守によって鎮定されてから二年目の春のことであった。八丁堀の与力同心を始め岡ッ引小者に至るまで花見の宴で遊び暮らしたその夕方のこと、岡ッ引長助が何者かに殺され、その死体に鮮血で十文字が印されてあったというできごとが起こった。下手人として村上敬四郎は、与力次席の坂上與一郎とその娘鈴江、若い同心の山崎新三郎、岡ッ引の萬造などに目星をつけた。むっつり右門は相変わらず腰が重く、これはもっぱら被害者長助の経歴を洗わせていた。そんな中で浪人、遊び人が次々と殺され、いずれもその死骸には血の十文字があった。敬四郎は山崎がこの事件に関わりのある事実をつかんだが、その山崎もまた同じように殺された。松平伊豆守は将軍御鷹狩の下検分に自分の居城忍の町にやって来たが、まもなく城下で右門捕物帖 謎の血文字の殺人が次々と行われた。右門は伊豆守の招きでやっと腰を上げて忍の町へ向かい、敬四郎も萬造の後をつけてやって来た。その右門に鳥追いのお芳がつきまとっていた。右門はこれを敵の回し者とにらんでいた。やがて伊豆守が城中見晴台の検分に登った時、突如として大音響とともに台が崩壊した。が、本物の伊豆守は奧殿にあり、台に登ったのは身代わりの右門で、これが彼の誘いの手であった。腰元お登也の手引きでこれを機に城内へ乱入した凶賊は難なく捕らえられた。お登也は山崎の妹で、ともに島原の残党であった。残党一味にも急進派と隠忍自重派の対立があり、浪人、遊び人の殺害は軽挙の急進派が殺されたもので、岡ッ引の長助は一味が資金稼ぎのための旦那ばくちを開帳していた秘密を嗅ぎつけたため、山崎は敬四郎に疑われたために、一味の萬造に殺されたものであった。事件解決の後右門は再び江戸への旅に立ったが、敵方と思ったお芳が彼の危難を救ってくれた事実には、気が付かないようであった。