お洒落狂女
劇場公開日:1952年4月3日
解説
音楽家山田栄一が新しく創立した山田プロダクションと東映京都との提携になる第一回作品。原作は大衆小説家本田美禅の代表作「お洒落狂女」で、「嵐の中の母」の佐伯清が、藤田潤一と共同で脚本を書き、監督に当たっている。撮影は「遊民街の夜襲」の川崎新太郎である。出演者は「犬姫様」の花柳小菊、月形龍之介、「醉いどれ歌手」の川津清三郎、「娘十八びっくり天国」の関千恵子、「西陣の姉妹」の進藤英太郎のほか薄田研二、田中春男などである。
1952年製作/86分/日本
配給:東映
劇場公開日:1952年4月3日
ストーリー
徳川十一代将軍家斉の時代、老中松平定信は厳しい奢侈禁止令を実施、江戸市中は火の消えたようになった。その町なかを、面当てのように、あらん限りの美しい衣装、髪飾りを身につけてさまよい歩く狂女があった。人々は「お洒落狂女」とよんで、極端な質素を強いられる自分たちの鬱ぷんを晴らしてくれるように思いもてはやした。それと同時に凶悪な盗賊が大胆不敵に市中に跳梁するのであった。松平越中守はこの狂女に何か背景となるものがあるように感じ腹心の家臣諏訪部三五郎にそれとなく狂女の身辺をさぐらせた。やがて彼女が禁止令のため破産を苦にして自害したという呉服商近江屋の娘お花であることが判るが、お花の父の生前の友人中熊屋吉兵衛がそれとなくお花の面倒を見ているのだった。そして吉兵衛の娘紀代だけがお花の仲良しであった。「助平ッ」と怒鳴られながら、お花につきまとう三五郎も、いつしかお花の信頼をかち得たようであった。家斉の実父一橋民部は、越中守の行きすぎに反感を示して、盗賊逮捕の邪魔や、お花を誘拐しようとしたりするので、お花は越中邸に引取られていたが、深夜越中守の寝所へしのび込んで彼を刺殺そうとしたことから彼女が本ものの狂人でなかったことが判った。一方また紀代は死んだ筈の近江屋の下男松造が自分の倉に監禁されているのを発見してそれを救い、松造の口から近江屋と中熊屋こそ市中荒らしの兇賊の正体で、お花の父は実は悪事の曝見をおそれる吉兵衛に殺されたものであることが語られた。やがて中熊屋は捕えられ、正人にかえったお花と三五郎、父を失った紀代もお花の兄で恋仲の歌之助と結ばれ、この若い二組は春風になごむ東海道を旅立って行くのだった。