元禄水滸伝
劇場公開日:1952年1月31日
解説
製作脚本は、演劇、映画、ラジオの劇作家、演出家の郷田徳。監督は、最近「月から来た男」「江戸恋双六」の脚本を書いた犬塚稔と郷田徳の共同。撮影は「江戸恋双六」の永塚一栄である。出演者は「新撰組 第一部京洛風雲の巻」の月形龍之介「とんかつ大将」の徳大寺伸、「銭形平次・恋文道中」の本間謙太郎改め旧名坂東好太郎、「風ふたたび」の三津田健、杉村春子、春日野八千代以下宝塚少女歌劇の主だった連中が協力出演している。
1952年製作/86分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1952年1月31日
ストーリー
徳川五代将軍綱吉は、犬公方と称せられるほど極端に犬を愛護し、人間は飢えても、犬には配給米を与えるという有様だった。与のという一少年は、困窮のあまり、犬の配給米を盗んで役人に追われるが、吉良邸の前にかがんでいた浪人風の男に救われた。その男は赤穂浪士の小山田庄左衛門だった。彼は与のとその姉お初に会うが、大望を持つ身は、二人に救いの手をのべることが出来なかった。また、彼の親友毛利小平太は、その強烈な性格ゆえに、同志と衝突することが多く、小山田は陰ながら、それを案じていた。毛利は、足軽という身分ゆえ、寺坂吉右衛門が同士に加えて貰えぬことを不満に思っていたが、討入当日の会合で、大石はその寺坂を仲間に加えようといった。毛利はやけ酒をあおっていたため、会合におくれ自決し、小山田は毛利をたずねて行って、お初が与のの盗みを苦にして自殺を企てたことを知ってそのあとを追い、ついに人間一人の命を救うために、大望をすてる結果になった。大石以下四十七名は無事本懐をとげ、寺坂だけは、途中から逃げたことにして瑶泉院と芸州とへの報告の使者に立てられた。寺坂は瑶泉院より温い言葉でねぎらわれ、生きる有難さを感じたのだった。