慶安秘帖
劇場公開日:1952年1月10日
解説
製作は「めし」の藤原眞澄と「佐々木小次郎 (第一部)(1950)」の宮城鎭治の共同、脚本は「赤道祭」の棚田吾郎に「お嬢様お手を」の吉田二三夫が協力している。監督は「若人の歌」の千葉泰樹で、「赤道祭」の山田一夫が撮影に当たっている。出演者は「佐々木小次郎 (第一部)(1950)」の大谷友右衛門、「めし」の島崎雪子、「平手造酒(1951)」の山村聡、歌舞伎の市川段四郎などの他に、村田知英子、菅井一郎、藤原釜足、石黒達也、清水将夫などが助演している。
1952年製作/106分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1952年1月10日
ストーリー
刈谷三郎は、三万石を棒に振って幕府の悪政を強諌した松平定政の庶子で、父の志を継ぐ若者だった。そして父を陥し入れた酒井讃岐守を襲ったが、失敗して与力の田代に追われる身となった。紀州家江戸詰家老牧野兵庫にかくまわれて弓師藤四郎の寮へ傷ついた身をあずけられた三郎は、藤四郎の娘小藤から病める身を手厚い看病をされた。小藤は三郎に思いを寄せたが、一方小藤の美貌に心惹かれている田代の手が身辺に迫るので、兵庫の計らいで由比正雪の塾へあずけられた。そこで三郎は以前街頭で争ったことのある丸橋忠彌を知り、粗野だが純粋な忠彌の人柄にひかれた。しかし、正雪は秕政改革に名をかりて自分の野望をとげようとするものであって、それが再び忠彌と三郎を相争わせ、三郎は再び藤四郎の寮に身を寄せることになった。正雪反乱の計画は日と共に進み、忠彌との雨中の争いから再び病を得て病床に臥す三郎は心をいらだたせる日が続いた。小藤は女心の浅はかさから、三郎を独占するため、正雪、忠彌の陰謀を訴状に認めて目安箱へ投じた。丸橋忠彌捕らわるの報に三郎は病の身を忘れてとび出した。その鼻先へ与力の田代が「友を売った武辺のすたれ者」とせせら笑って立っていた。その田代は斬り捨てたが、三郎の心には深い悲しみが残った。忠彌が処刑された日、竹矢来の外に、深編笠と被衣で身をかくした三郎と小藤の悲しみに伏した姿が見られた。