劇場公開日 1960年5月28日

「女の幸せって何なのでしょうか?」娘・妻・母 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0女の幸せって何なのでしょうか?

2020年5月10日
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鑑賞方法:DVD/BD

カラーワイドスクリーンで、きら星の如く沢山のスターが共演します
東宝の気合いの入れ方が伝わってきます

娘は
長女役 原節子 40歳 役は36歳
三女役 団令子 25歳 役は20歳位か

妻は
長男の妻役 高峰秀子 36歳 役もそれくらい
次女役 草笛光子 27歳 役はちょっと上の30歳位か
二男の妻役 淡路恵子 27歳 同じく30歳位か

母は
皆の母 三益愛子 50歳 役は劇中で還暦のお祝い事があります
次女の義母 杉村春子 51歳 役は65歳位か

原節子のロマンスのお相手役
仲代達矢 27歳 劇中もそれくらい

他にも森雅之、宝田明、小泉博、笠智衆、加東大介、上原謙

とまあこんな具合
沢山の人間関係の説明だけで中盤までかかります
それもギスギスした関係で、お金の話があけすけに話されます
冒頭いきなり金融商品のセールスシーンから始まりますし、小さな孫にまでキャラメルやるから遊びに行こうよ!とか、ブランコにかこつけて貸してよ!ねえ貸して!とか言わせます
なので、中盤までは息ぐるしく逃げ出したくなるのをこらえて観なくてはなりません

しかしそれも成瀬監督の計算です
後半に入ってから俄然物語が動き出し面白くなります
そこまでの辛抱です

2時間観終わってみれば、ああ成瀬巳喜男監督の作品を堪能した!という満足感が残されています
それは女の一生と言うものに対する深い感慨です
娘、妻、母
実に相応しい題名です

原節子がやはりヒロインです
東宝の成瀬巳喜男監督作品なのに、タイトルバックのテキスチャが松竹の小津作品とそっくりな布地と色目にわざわざしていたのはそれを宣言していたのだと思います

エンドマークの後、彼女はこれからはどうなるのか
京都に行くのでしょうか?
それともそれは破談にして甲府に走るのか?

女の幸せって何なのでしょうか?

彼女と仲代達矢とのロマンスシーンは見ものです
こんな原節子の満面の笑顔は、小津作品を含めて他の作品では観たことはありません
それが成瀬監督の答えなのだと思います

あき240