影のない妖婦
劇場公開日:1960年2月24日
解説
トップ屋取材帖シリーズの第四話。島田一男の原作を「トップ屋取材帖 悪魔のためいき」のコンビ星川清司が脚色し、井田探が監督した。撮影も「トップ屋取材帖 悪魔のためいき」の柿田勇。
1960年製作/53分/日本
配給:日活
劇場公開日:1960年2月24日
ストーリー
事件から事件へたえまなくペンをふるうトップ屋・黒木は有楽町裏のバー「城」で東都日報社会部の西村とマダムの千代と向い合っていた。西村は万里の虎こと遠野が中国で殺されたこと、そして千代がその妹であることを話した。その時、戦時中海上にあった日本特務機関の給仕女・白系露人のターニャが成人した姿で現われた。彼女が中共国に銃殺された遠野の写真を持って来たのだという。幼い時わかれて兄の顔を知らない千代のためかつて特務機関にいて情報提供者だった遠野と顔見知りの黒木に証言を求めたのだった。しかし黒木のトップ屋としてのカンは何かがあることを嗅ぎつけていた。まず黒木はキャバレー「ロクサーヌ」でヌード・ダンサーをしているターニャを訪ねたが、ひそかな恋をうちあけられただけだった。つぎに千代を訪ねたがその美しい肢体にとらわれてしまった。しかし黒木が帰ると入れちがいに殺し屋の品田が入って来た。一瞬、黒木がもどって千代を助けた。危いところを救われた千代は、彼女が遠山の情婦のひとりで、彼はいま香港を舞台に肉体の密輸をやっており、世をあざむくために黒木に“万里の虎の最後”という記事を書かせようとしたと一切を告白した。その頃、東京港に停泊中の貨物船クイン・ロード号では、十数人の日本の女が、恐ろしいワナとも知らずダンスにふけっていた。また新宿の盛り場でも遠野の乾分が女を物色していた。“城”の女給アケミを品田に誘惑されていた。そしてこれをとめた西村は品田の銃弾に殺された。品田はまた黒木の助手ユリも連れ去った。これを知った黒木はターニャから合言葉を聞いてクイン・ロード号に潜入した。激闘数刻、遠野が拳銃を手にフラフラと立ちあがった時、ターニャを先頭に警官隊がなだれ込んで来た。遠くの汽笛が、黒木の取材の終りを告げていた。