釧路の夜

劇場公開日:

解説

藤波敏郎が脚本を執筆し、「雌が雄を喰い殺す 三匹のかまきり」の井上梅次が監督したアクションもの。撮影は「悪党社員遊侠伝」の大越千虎。

1968年製作/92分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1968年9月4日

ストーリー

東京のあるホールで、新人歌手慎一が歌っていた。そのテレビ放送を、刑務所にいる矢吹、釧路のナイトクラブで働く慎一の姉美奈子の二人が、じっと見ていた。三人のそれぞれの脳裡には複雑な過去が蘇えるのだった。矢吹は東京のナイトクラブ「オスカー」のテナーサックス奏者だった。ベースの中山は美奈子の恋人だったが、実は麻薬の常用者だった。美奈子から相談を受けた矢吹は、麻薬を扱っている郷田組を訪れ、中山に麻薬を売らないよう頼んだのだ。しかし、中山は麻薬を盗み出し、郷田組に追われる破目になった。そのため、矢吹は郷田組の佐伯と野淵の二人と争い、はずみで佐伯は机の角に頭を打って死んでしまった。自首しようにも、郷田組に狙われる美奈子を置き去りにするわけにもいかず、矢吹は美奈子の郷里釧路に逃げた。郷田組は矢吹や美奈子の口から、麻薬や賭博の件がバレるのを恐れていたから、必死だった。一方、美奈子の父は汚職事件に連座して自殺し、母もその後を追ってしまった。悲観した美奈子を矢吹は慰めたが、いつかそれが強い愛に変っていた。矢吹は美奈子の弟で、歌手志望の慎一を知った。ある日、慎一は父の自殺は三宅組の結城の罠だったと知り、結城を殺そうとして矢吹に止められた。しかし、釧路まで追って来た郷田組は、三宅組と組んで矢吹を襲ったのだった。矢吹は必死に戦った。その時ひょっこり現われた中山は、矢吹と美奈子の関係を知って憎んだのだが、矢吹のために駆けつけ、流れ弾に当って死んだ。そのころ矢吹は、警官に捕えられていた。そして慎一は、矢吹の計らいで、クラブ「ボエーム」のマダム、ユリを通じ、釧路に来ていた西郷輝彦について勉強出来ることになったのだった。いま、その慎一のデビューぶりを見る矢吹の胸には、万感の思いがこもっていた。

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