劇場公開日 1968年8月10日

闇を裂く一発のレビュー・感想・評価

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5.0峰岸徹主演で黒澤明の野良犬を彷彿とさせるところもある佳作!

2023年1月18日
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鑑賞方法:映画館

射撃部門でメキシコオリンピックの強化合宿中の新人警察官が、子供を誘拐した凄腕の凶悪ライフル魔の対策で捜査に駆り出される。

当時新人だった主演の峰岸徹が、日活の赤木圭一郎にソックリなのに驚くが、新人警官らしい初々しい姿と経験不足ゆえ迷いを好演している。

相棒に付くベテラン刑事を露口茂が巧みに演じているが、当時36歳ぐらいなのに貫禄もあり老成して見える。「太陽にほえろ!」が72年からなので、山さんの原型にも感じる。
個人的には、ジェレミー・ブレットのシャーロック・ホームズの吹き替えも逸品でした。(キャステングしたNHKは見事)

犯人役の佐藤允は、一時期日本リチャード・ウィドマークと呼ばれる癖のある風貌や笑い顔が特徴的な個性派。当時は悪役も演りつつ『独立愚連隊』などの傑作で、主役を務めるなど東宝映画には欠かせない役者だが、大映の作品に出ていたのは意外だった。

張り込みや聞き込み捜査の合間にある昭和の風景などが、古い日本映画観る時のモチベーションの一つになっているので、暑い夏の最中に新人警官が腹を減らせて食べる瓶の牛乳と菓子パンが一々新鮮。

ネタバレあり

ベテラン刑事と組んで、真夏の暑さの中で、張り込みや聞き込みを行い慣れない捜査に四苦八苦しながら犯人に近づくが、気の迷いから取り逃がして、ベテラン刑事がライフル魔に撃たれて死亡。
犯人打倒に燃えた主人公が試合中の東京球場で対決する。

何かに似てると思ったら本作の脚本家の菊島隆三が黒澤明監督と組んだ刑事映画の「野良犬」と展開やシチュエーションと野球場や盗まれたライフルなどの登場する事柄も似ているのもあり、改めて「野良犬」は、名作だったのだが、こちらも見所満載で面白い。

暗闇での対決のアイデアも面白くて、球場の場面も何となくピーター・ボグダノビッチ監督のデビュー作品の『殺人者はライフルを持っている!』を連想されるが、製作年は同じなのでもしかしたらピーター・ボグダノビッチと同じテキサスタワー事件から着想を得ているのかな?

子供の誘拐があっさり解決してからの展開やラストの暗闇での対決までヒネリとちょっとしたアイデアが入っておりなかなかの作品!

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