「若き太地喜和子が美人で、小悪魔的に奔放で、とても魅力的。二谷英明が結局夢中になってしまうことに説得力」花を喰う蟲 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
若き太地喜和子が美人で、小悪魔的に奔放で、とても魅力的。二谷英明が結局夢中になってしまうことに説得力
西村昭五郎 監督・中島丈博脚色による1967年製作(99分)の日本映画。原題:Burning Nature、配給:日活、劇場公開日:1967年6月15日。
最近偶然だが太地喜和子と三國連太郎の対談記事を読んだこともあり、かなり昔になるが白い巨塔に出てた太地に子供ながら感じた不思議な色気の正体に興味が湧いて来て、彼女の古い主演出演作を鑑賞。
細身の太地喜和子が普通に美人で、しかもとてもエロくてびっくり。育ちの悪い横浜のズベ公だが、女を利用しまくってきたワルの紳士二家英明により磨かれて、多くのミスコンテストで優勝して箔をつけ、モデルとして超売れっ子になっていく姿が、実にサマになっていて驚かされた。
彼女が恋する二谷は洗練されないと駄目と抱いてもくれず、政治家ジジイ等の相手をさせられる。そして二谷の指示で、太地は財界御曹子の誘惑に成功し、彼のフィアンセで財閥令嬢の梶芽衣子ともレズビアン関係を結び自分に夢中にさせてしまう。原作は読んでいないが、複数との乱れた性的関係性が中島丈博の作品らしい。小悪魔性が滲み出る様に見える太地喜和子も演技を感じさせず、役にピッタリとハマっていた。
こうして二谷は太地を徹底的に利用して、自分の苦しめた政財界のお偉方に復讐を果たすのだが、何と彼自身も喜和子の体に夢中になってしまう。そして挙句の果てに、ズべ公時代の恋人の郷えい治に撃ち殺されてしまう。
洗練された女になり自由の身にもなった太地喜和子は、梶芽衣子から大金も獲得し、豪華客船で海外へ向かう。最後に勝利者になるのは、若き成り上がりの女性というのが、監督が西村昭五郎ということもあってか、その後の日活ロマンポルノのテーマを予見している様で、感慨の様なものを覚えた。
監督西村昭五郎、脚色中島丈博、原作黒岩重吾、企画仲川哲朗、撮影安藤庄平、美術千葉和彦、音楽山本直純、録音片桐登司美、照明吉田協佐、編集辻井正則、スチール寺本正一。
出演
二谷英明香本雅樹、太地喜和子青木奈美、郷えい治陸宗夫、花ノ本寿五井裕一、月丘千秋高富絹子、梶芽衣子斎村妙子、小高雄二白井、清水将夫五井惣一、富田仲次郎斎村唯夫、浜村純佐伯、深江章喜花守、飯沼慧沖本、中村丈二亀公、吉田静子ユキ、三船好重奈美の母、山田実子モデルA、西原泰江モデルB、佐川明子中性的な女、新井麗子デザイナー、田中滋宣伝部員、広瀬優司会者。