「夢に見そうな若尾文子の“お艶”」刺青(1966) kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
夢に見そうな若尾文子の“お艶”
若尾文子映画祭で観賞。
全編、絵画的な美しい構図と光と影のコントラスト。
(撮影:宮川一夫)
本作の初の4K復刻版公開が、今回の映画祭の目玉になっている。見事な解像度でスクリーンに映えていた。
谷崎潤一郎の小説の主人公は女郎蜘蛛を掘られて人格が豹変してしまうのだが、映画のお艶は使用人と駆け落ちしようとする最初から肝の据わった娘だ。
若尾文子に合わせた脚色なのだろうか。
(脚色:新藤兼人)
若尾文子の少し低いトーンの声は、時にドスがきいていて、時に甘ったるくて、なんとも不思議な魅力がある。
あの当時は時代劇が多かったので、スター女優はみな和服での所作が美しいのだが、本作の若尾文子は格別の色気。
若尾文子の魅力を知り尽くした増村保造監督の演出が冴え渡っている。
山本學(当時は、学)の青白い狂気の芸術家ぶりと、佐藤慶のスケベ旗本ぶりがはまっていた!
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