劇場公開日 1965年4月18日

「ショーシャンクの空にや暴力脱獄と肩を並べる傑作だ」網走番外地 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ショーシャンクの空にや暴力脱獄と肩を並べる傑作だ

2019年11月25日
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鑑賞方法:DVD/BD

素晴らしい脱獄映画
海外の映画まで、見渡してみてもこれほどの作品はそうない
脱獄映画の要素がたっぷりと詰まっている
監獄内の日常とヒエラルキー、脱獄計画、特に鬼寅が啖呵を切るシーンは見もの

極寒の地、最果ての監獄という設定が素晴らしく活きており、雪中の逃亡、スピード感溢れるトロッコシーン、迫力満点の蒸気機関車の接近シーン、怒りに燃える追撃者
撮影も白黒フィルムの陰影を利点に変えてみせている

劇中の台詞にあるとおり、腐れ縁だと手錠を表現するように、断ち切ろうとしても引きずり戻されてしまう、どうしようもない悪人の世界を繋がれた手錠に象徴させる
フィルムノワールの味わいも濃い
そして微かなホモセクシャルの香り

その上、主人公の生い立ちから、背景をフラッシュバックさせていきながら、ラストシーンに収斂していく脚本も見事

ショーシャンクの空にや暴力脱獄と肩を並べる傑作だ
日本映画のレベルの高さを証明するものだ
決して高倉健だけの映画ではない
大ヒットしたのも当然の事だ

その上、団塊の世代の人々に取っては高卒で就職した頃の作品になる
社会人となって厳しい世間の荒波の中に放り込まれて息が詰まる思いを網走番外地に重ね合わせたのだろう
時流にも合っていたのだ

あき240