劇場公開日 1964年12月29日

「文芸美術が想像以上の化け物作品」怪談(1964) ミカさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 文芸美術が想像以上の化け物作品

2025年12月18日
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鑑賞方法:VOD

興奮

知的

これが、“幽玄”というものなんですか。映画を鑑賞して初めてそう思いました。

怪談というよりも奇譚という印象を受けました。
作品には日本の美意識の全てが詰まっていて、私はここまで美しい日本映画を今まで観たことがありません。

特に、子供の時に小泉八雲の児童書で読んでいた“雪女”と“耳無し芳一”が好きです。当時、挿絵を元に頭の中で想像していた“雪女”と“耳無し芳一”そのものが映像で現れたという感じでした。

特徴的なのは、かなり無音のシーンがあり、この静寂さがとても神秘的に映ります。それとは逆に“耳無し芳一”はタイトルと共に琵琶の音色がビンビンに響いてきます。その落差がまた良くて。あー、この静けさも音色も日本だなって。

“雪女”は自然の畏怖の象徴ですが、子供がいることを理由に木こりを殺さないところは、生の象徴とも取れます。宮崎駿にも通じるところがありますよね。もっとも、影響を受けていないはずはないですね。

映画ファンの方は、この素晴らしい映画体験を是非味わっていただきたいです。

ミカ
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