紅閨夢
劇場公開日:1964年8月12日
解説
谷崎潤一郎の『過酸化マンガン水の夢』『柳湯の事件』より「白日夢(1964)」の武智鉄二が脚色、監督した風俗もの。撮影は稲葉直。
1964年製作/74分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1964年8月12日
ストーリー
八月の暑い日、私(作家民野)は、妻と妹を連れてヌード劇場へストリップを見に行った。「晶子抄」に主演する晶子は、小柄な色白の美人で、私は一遍で好感をもった。帰りに、中華第一楼に寄って、三人で油っこい料理をつついた。そこで、私は、以前レッドビーツを食べすぎて、水洗の水が過酸化マンガン水のように赤く染った話をして、妻にたしなめられた。次に私は、今評判の裸体映画「浴槽の魔女」を観に行くため、舞踊の会に行く妻達と別れた。「浴槽の魔女」は、貧乏絵描きが、美しい芸者を女房にしたが糖尿病をわずらい、妻に満足感を与えられないコンプレックスから女房を裸にして、墨汁を身体につけて、カンバスのうえをひきまわすという話で、更に、昼間銭湯に行く、夫が湯舟の底に女房の生霊が横たわっている幻覚におびえるといった、エロティシズムにあふれた映画であった。私は、主演の柳美那のむっちりとした、白い肌に、強く惹かれた。再び妻と妹に落あった私は、関西料理を腹いっぱい食べた。久しぶりに、私の目の前に出た、ボタンハモの白身をつつきながら、映画の中の、女の白い腹部を思い出していた。その夜は、妻は夢にうなされていたが私は、食べすぎてトイレに通っていた。そのうち、私も夢を見たがそれは、晶子と柳美那の裸身があやしく交錯する艶夢であった。
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スタッフ・キャスト
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