桃太郎侍(1963)
劇場公開日:1963年12月19日
解説
山手樹一郎の同名小説より、「近世名勝負物語 花の講道館」の八尋不二が脚色、「潮来笠」の井上昭が監督した時代劇。撮影は「対決(1963)」の本田平三。
1963年製作/82分/日本
配給:大映
劇場公開日:1963年12月19日
ストーリー
白昼の蔵前通りで、女スリと責められる小鈴を救った若い浪人。この桃太郎と名乗る男は、讃岐十万石若木家の若殿新之介の弟であった。桃太郎は大名の家に生れたが新之介と双生児であったため早くから里子に出され市井で育った。成人してからも、悠々自適の生活を楽しんでいた。しかし、その頃故郷若木藩では、家老鷲塚主膳の作謀で、正嫡新之助を退け、妾腹の子万太郎を、その位につけようとしていた。その懐刀である伊賀半九郎は、よくその策を練っていた。これを知った江戸家老神島伊織は、一挙に事態を解決せんと急いで帰国しようとした。その護衛役に娘の百合の命の恩人、桃太郎に頼もうとした。一旦断った桃太郎だが、新之助が毒に倒れ、生家の一大事と知った桃太郎は、兄新之助になりすまして半九郎に引見した。毒死したと信ずる半九郎はこのニセ新之助に驚いたが、傍らににじりより、大殿の命令と称して家督を万太郎に譲るよう奏上した。いずれ国元で返事をすると一旦長屋に帰るや、兄弟分の伊之助に協力を求めた。計画通り、東海道を西に下る桃太郎の行列に、敵のいやがらせは続々とつづいた。途中、巡礼に化けて讃岐に入った百合と伊之助を同行して国許の城代屋敷へ入っていった。しかし、大殿は、陰謀派の掌中にあり対面さえ出来ない始末であった。その時、桃太郎のもとに、半九郎から手紙が届いた。小鈴が桃太郎を慕うあまり裏切ったから成敗するというのだ。罠と知りつつ敵の本拠に乗り込んだが、二人とも捉えられ縄をかけられ、火を放たれた。小鈴は、縛られた手を火の中に入れ、桃太郎の縄をほどくと自ら死んでいった。そこへ新之助が姿を見せ、大殿の面前で陰謀派と対決(1963)した。桃太郎の剣は冴えをみせ、陰謀派は、退散した。兄新之助と初めて兄弟名乗りをした桃太郎は又、百合をつれて素浪人暮しに戻っていった。