ぶらりぶらぶら物語のレビュー・感想・評価
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反戦、反原発
オープニングのスタッフ、キャストの紹介が名前だけではなく、本人の映像も一緒に映していた。しかも、それぞれ縄で縛られたり、繋がっていたりと、冒頭のテロップでも人間のしがらみについて語られていた。かなりユニークな作品。
生活必需品をすべて身につけ、ぶらりぶらりと全国を旅する男・猪戸純平(小林)。九州八幡の駅前食堂に入ったが、うどんの中にハエが入っていて一騒動。無銭飲食として警察に連れていかれると、そこで出会ったのが年に1度は必ず会うという桑田駒子(高峰)だった。彼女も自ら原爆症の女と偽り、1本百円の鉛筆を行商しているのだった。詐欺仲間の次郎吉(三木のり平)から純平が金を持っていることを聞き、身元引受人となったが、その晩、酔わせて彼の金を盗んだのだ・・・
一文無しになった純平は捨て子となった兄妹につきまとわれる。そして、駒子からのメッセージを見つけ、彼女は8万円を純平名義で銀行に預け、サラリーマンになったら結婚してあげるとあった。有楽町で逢いましょう・・・と。
珍道中そのものも全国の名所を回ったり、詐欺ぽい行動で笑わせてくれる。寅さんとリリーのような関係ともとれるが、人情や恋愛だけではなく、反戦、反原爆、そして、憲法改正反対という社会派メッセージがいっぱい出てくる。
東京に到着した純平は子どもたちを捨てたおばさん(団)とキンコンカンちゃん(桂小金治)に預けるが、彼らはそこを抜け出して純平の下へ・・・。最後には純平と駒子もこぶつきで結婚してハッピーエンド。最も印象に残るのが、高峰秀子が平和行進する団体からちょっと離れて歩いているシーン。詐欺の手段が原爆被害者への寄付金集めという名目だったが、真剣に平和活動していたのだ。このシーンの高峰の表情から深読みすると、ひょっとして彼女も原爆症だったのではないかとさえ感じるくらいだ。原発反対の歌を歌いながらであったが、なんという曲名なのか知りたくなった。
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