斬る(1962)

劇場公開日

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解説

柴田錬三郎の原作から「裁かれる越前守」の新藤兼人が脚色、「座頭市物語」の三隅研次が監督した剣客もの。撮影は「三代の盃」の本多省三。出演は「「破戒(1962)」」「中山七里」の市川雷蔵、「破戒(1962)」の藤村志保、他。

1962年製作/71分/日本
原題:Destiny's Son
配給:大映

ストーリー

高倉信吾は小諸藩士である養父の高倉信右衛門の許しを得て、三年間の武道修行に出た。やがて三年の歳月が流れた。信吾の帰りを最も喜んだのは義妹の芳尾だった。信吾は藩主牧野遠江守の求めにより、水戸の剣客庄司嘉兵衛と立会った。信吾は“三絃の構え”という異様な構えで嘉兵衛を破った。数日して、下城中の信吾は、信右衛門と芳尾が隣家の池辺親子に斬殺されたという知らせをうけた。池辺義一郎は、伜義十郎の嫁に芳尾を望んだが、断わられこれを根にもってのことであった。信吾は池辺親子を国境に追いつめて討った。その時、信吾は自分の出生の秘密を知った。信吾の実母は山口藤子という飯田藩江戸屋敷の侍女で、城代家老安富主計の命をうけて殿の愛妾を刺したが、処刑送りの駕籠から彼女を救った長岡藩の多田草司と、一年を送ったのち生れたのが信吾だった。それから藤子は捕えられたが、彼女を斬る役が多田草司だった。信吾は遠江守から暇をもらって旅に出た。その旅籠で、信吾は、二十人もの武士に追われている田所主水という侍から、姉の佐代を預ってくれと頼まれた。しかし、佐代は主水が危くなった時、自分を犠牲にして主水を逃がした。彼女の崇高な姿にうたれた信吾は、彼女を手厚く葬った。江戸に出た信吾は、千葉道場主栄次郎と剣を交えたが、その技の非凡さを知った栄次郎は、幕府大目付松平大炊頭に彼を推挙した。大炊頭に仕えて三年、信吾はその大炊頭の中に、養父信右衛門の慈愛に満ちた面影をみるようになっていた。文久元年、世は尊王攘夷の嵐に狂っていた。中でも水戸はその急先鋒であった。大炊頭は水戸藩取締りのため信吾を伴って水戸へ赴いた。水戸へ着いた時、大炊頭を襲う刺客の中に庄司嘉兵衛があったが、その嘉兵衛も信吾に倒された。あすは江戸へという水戸最後の日、城内に入った大炊頭と信吾は、先祖の命日焼香のためというので両刀を取上げられ、仏間と控えの間に通された。仏間には刺客が待っていて大炊頭はあっという間に騙し討ちにあった。危機を直感した信吾は、床の間の梅一枝を持って刺客を倒し、仏間にかけつけたが、大炊頭はすでに絶命していた。今はこれまでと信吾は、静かに切腹の用意をするのだった。

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映画レビュー

4.5眠狂四郎の原形がここに始まっています

あき240さん
2020年3月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

傑作です
冒頭から異常な緊迫感が終盤まで続いていきます
新藤兼人の脚本は見事な構成です
まるで研ぎ澄まされた剣のように無駄がないのです

時代劇と言えばチャンバラ
本作はそのチャンバラそのものに焦点が当てられています
しかし剣劇ではなく、その刀のもたらす鋭さそのものを描いています
市川雷蔵の殺陣は正直甘く感じます
しかし、中盤以降のニヒルな演技はそんなことをどうでもよいことだと言い切れる凄さです

明らかに眠狂四郎の原形がここに始まっています

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あき240

2.5無常観

散歩男さん
2019年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

62年大映。市川雷蔵主演。三隅研次監督作。タイトルから受ける印象とはかなり違った内容。

まずOPから度肝を抜かれる。71分という短さゆえか展開が早い早い。そのリズムが現在の映画とはかなり異なる。映画文法からして違うという印象。音楽もかなり奇妙だが耳に残った(当事の流行か?)

市川雷蔵のなんとも形容しがたい色気。そして不条理とも言える物語。それゆえか妙に印象に残る映画である。日本映画はこういう無常観を観るという文化があるのだねえ。

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散歩男

3.5奇妙な作品

2019年3月6日
PCから投稿

途中で話が終わってしまって取ってつけたような続きになり、70分で終了してしまう。・・しかし何故か心に残るものがある。

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KIDOLOHKEN

3.0或る邪剣の生涯

近大さん
2018年4月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

単純

三隅研次監督&市川雷蔵主演による“剣”三部作の第一弾。1962年の作品。
ある剣客の数奇な運命。

とある藩士の息子、高倉信吾。
父の許しを得て三年の武者修行に出、帰ってから藩主の命で水戸の剣客と立ち会い、これを破る。
信吾の剣の腕と藩主の寵愛を鰻登り。
ある理由から隣家の藩士親子から根を持たれ、父と妹を殺される。
父から絶命の寸前、衝撃の出生の秘密を明かされる。
本当の母は、殿の命で妾を討った侍女。殿の慈悲で匿った藩士との間に産まれたのが、信吾。
やがて実母は処刑されるが、その時自ら斬ったのが、実父であった…。
育ての父と血の繋がりの無い妹の仇を取り、藩主の慈悲を受けて信吾は旅に出る。
実父と会う。実父は実母の墓と共に世を捨て独り生きていた。
旅の途中、多くの武士に追われる姉弟と出会う。助太刀しようとするが、弟を逃がす為に犠牲となった姉の姿に心打たれる。
江戸で出会った道場主に剣の腕を見込まれ、幕府お目付け役に仕える。
信吾はお目付け役に亡父を感じ、お目付け役は信吾に亡息子を感じる。
水戸藩取締でお目付け役と水戸に赴くが、そこで…。

…と、文章にしてあらすじを書くとそこそこ長くなるが、尺は何と70分強!
波乱に満ちたある剣客のドラマをよくコンパクトに収めたもんだと感心する。(脚本は新藤兼人)
なので、要所要所のドラマは抑えられているものの、ずっしりとした見応えがあるとは言い難い。ドラマ的な深みや重みには欠ける。
が、数奇な運命に翻弄され続けた非運は充分。
育ての親を亡くし、衝撃の出生を知り、やっと生涯仕える事が出来そうな人物に会えたと思ったら…。
人を斬り続けた邪剣。
運命の果てはすでに決まっていたのかもしれない。

信吾の人生に影響を与えた三人の女たちが、三者三様で印象的。
職人・三隅研次の演出も、時折のワンカットワンカットに鋭い冴えを感じる。

そして、市川雷蔵。
その美形と憂いに満ちた佇まいは非運の剣客にぴったりであった。

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近大
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