雁ちゃんの警察日記

劇場公開日:

解説

樫原一郎原作の小説から、「サラリーマン手帖 坊っちゃん社員とぼんぼん社員」の森田竜男が脚色。同じく酒井欣也が監督した喜劇もの。

1962年製作/53分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1962年2月4日

ストーリー

ガンちゃんこと富井雁太は警察本部音楽隊のトランペッター。ふとしたことから、ただ一人の肉親である兄を探しに、紀州から出てきた少女まり子を、自分の独身アパートに連れてくることになった。アパートには、捜査三課につとめる美人刑事原田弓子がいる。雁太にしてみれば高嶺の花だが、彼が女の子を連れてきたというので部屋へ行ってみると、まり子が急に眼の痛みを訴えて、隣室のインターン薮井がきて大あわての最中だ。昨夜、轢き逃げの車にやられたのが原因だが、その車こそ警察が追跡中の宝石強盗のものと判り、みんなは色めきたった。まり子の眼の手術のために、雁太はニコニコ貯金を下げて入院させてやる。眼帯のまま紀州の民謡をうたうまり子に雁太は淡い恋心をおぼえ、それにつけても宝石泥棒を捕えたいと思うのだった。かくて雁太の涙ぐましい捜査がはじまる。本部からこの事件の特別捜査の命をうけたひろ子の口から、この事件に外国人がからんでいるのを知り、雁太は外国人に変装してまんまと強盗一味の中に乗りこむが、たちまち偽物とバレて地下室に閉じこめられてしまった。雁太はこの世の思い出にとまり子に想いをこめて、彼女がよく歌っていた紀州の民謡を口ずきむ。これを聴いた一味の見回わりの一郎こそまり子が探していた兄で、心ならず悪の道に走った彼は、初めて妹のことを雁太に聞かされ、警察に一味のかくれ家を知らせて雁太を逃がしてやった。勇躍、雁太は強盗一味を捕え、まり子のいる病院へ帰ると、そこでは一郎がまり子に別れを告げていた。自首しようとしている一郎の手を、まだよく見えぬまり子の手に握らせ、兄さんは商用で外国へ行くのだと、彼女の夢をこわさぬよう気をつかう雁太だった。やがてまり子の眼帯のとれる日、急ぎ帰った雁太を待っていたのは、両親の許しを得て恋人と結婚するため、紀州へ帰ったまり子の置手紙だった。雁太はさめざめと泣いた。「あなたには、トランペットという恋人があるじゃないの」そういって慰めるのは弓子だ。今日も雁太は、はりきって楽隊の先頭を行くのだった。

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