女の勲章のレビュー・感想・評価
全3件を表示
田宮二郎さんがずる賢く立ち回る様子が悪魔のよう
非常に面白かったです。名作ですね。
デザイナーの京まち子さん、その3人の高弟である若尾文子さん、叶順子さん、中村玉緒さんの4人の伸長と破滅の物語。
各々のキャラがはっきりとしていて、分かりやすい話の展開です。
特に若尾さんは、心の底まで薄汚れたダークな役でとても良い。
田宮二郎さんが、女四人を手玉にとってずる賢く立ち回る様子が、悪魔のようでありながら小気味良く思えます。
結末は悲劇ですけれど、お話しの進展は、そこに猛スピードで突っ込んでいく必然的な予兆に満ちているように感じました。
原作者の山崎豊子さんは、この映画にどんな感想を抱いたのかを知りたいと思いました。
脚本はこう書け
この映画では、ある妙に頭の切れる男が次々に女たちと関係を持つ。
彼は一体何者なのか?何を狙っているのか?
その疑問がサスペンスとして上手く組み込まれており、観客を引き込み続ける力になっていた。見終わったあとに「ああ、そういうことだったのか」という驚きは特になかった。 しかし、言葉にしにくい “何かの塊” のような感情が心に残った。
脚本は見事だと思った。
そして、女たちがとても美しかった。
美しい女性は本当に良い。
特に京マチ子は美しく、変化していく女性の姿を実に見事に演じていた。
その変化を中心にシナリオを構成したことで、物語が成功したように思う。
この映画は「女」を描いた作品であり、男の不可解な行動がどういう意味だったのかは、結局どうでもよかったのだ。
男にのめり込む女。
男を利用しようとする女。
利用されていることが分かっていても関係を続け、ほかの女に嫉妬する女。
そういった出来事が何度も繰り返されていく。しかし主人公の心境は確かに変化していく・・・その中で主人公の心の動きを柱にしているため、男が何を考えているのか分からないというサスペンスが成功したのだろう。
この作品は、女性経験が豊富で女性心理をよく理解し、女性に優しい男にしか真の意味で理解しにくい映画なのかもしれない。
一見複雑に見える脚本も、分析してみると実に単純である。
丁寧な伏線。
細かいディテール作り。
クライマックスの盛り上げ方。
各シーンを丁寧に撮ること。
それらを積み重ねると、結果的に2時間の映画になる。
それにしても、『不毛地帯』『華麗なる一族』『暖簾』『白い巨塔』、そして本作。
原作者で小説家の山崎豊子は本当にすごい。
最後にもう一つ。
『白い巨塔』では橋本忍が「女たちの物語」をすべてカットして、見事な作品を作り上げた。
一方この『女の勲章』では、新藤兼人が「女たちのみ」を描いて傑作にした。
二人の巨匠脚本家の対照も、とても興味深かった。
虚栄の日輪
Amazon Prime Video(KADOKAWAチャンネル)で鑑賞。
原作は未読。
ファッション業界に渦巻く愛欲と野望を赤裸々に描く。京マチ子らの美の競演で画面が華やかなのが良かったです。
ドロドロな女の戦いを操る田宮二郎の関西弁の胡散臭さがハンパない。長回しシーンでの早口セリフも秀逸でした。
衝撃の結末。霊安室の扉がガチャンと閉まり、劇伴も無しに静かに「終」と表示されるラスト・シーンが印象的でした。
銀四郎が悪いヤツに見えますが、式子も銀四郎のおかげで栄光を手に入れたわけだから自業自得かもしれません。
とは言え、式子の自殺は悲劇的。悪者探しをするならば、自殺の引き金を引いた教授がいちばん悪い気がします。
全3件を表示


