「ゲイリー・クーパーに具現されるアメリカのユーモアに溢れる理想的善人」オペラハット Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲイリー・クーパーに具現されるアメリカのユーモアに溢れる理想的善人
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分かっているはずなれど、それでも尚、思わず拍手を送りたくなる主人公ゲイリー・クーパーによる法廷での見事な逆転劇。実に良く練られたストーリーと台詞展開。そして、知性とユーモアを合わせ持ち貧困者に仕事を与える米国富豪者の理想像を、演技を意識させず体現するゲイリー・クーパー。これこそがスターということか。
田舎からニューヨークという都会に来た巨額な富の有名遺産相続者に、やり手女性新聞記者ジーン・アーサーが記事欲しさに薄幸な女性を演じて相手の懐に飛び込むのが、1930年の米国映画ながら日本で考えれば今風に感ずるのは興味深い。日本の女性記者の活力が、90年遅れでようやく米国に追いついたということか。
最後、逆転劇にわき立つ中一人だけポツンと取り残された様に見えたジーン・アーサー、しかし、こちらも逆転しロマンスも成就という展開もハッピーエンドはお約束ながら実に上手い。フランクキャプラ監督作を見るのは或る夜の出来事以来だが、改めて素晴らしい名人芸の監督と思えた。是非、他監督作品も見てみたい。
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