特急にっぽんのレビュー・感想・評価
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冒頭でまず賑やかな女子トークを映すのはお洒落な川島らしい。 真鍋理...
冒頭でまず賑やかな女子トークを映すのはお洒落な川島らしい。
真鍋理一郎の音楽も良くて、画面と相まって生き生きとして聞こえる。
特急電車のバックヤードの描写が面白く、車内全席禁煙となって久しい現代からすると、カリカチュアライズされているにせよ、昔は相当カオスだったんだなあと思い知らされる。
車窓越しのサイレントのドタバタも良かったし、時折挟まれる夜の暗闇の中を列車が走る遠景のショットは美しく、ハッとさせられた。
特急こだまと食堂車とドタバタ
映画の箱根山を見てから、原作者の獅子文六に興味を持ち、文庫化された原作を読んでの感想。
原作だと七時間半の道のりと架空の「特急ちどり」になっているなどの違いはあるが、350ページ近い長編を手際よくまとめ感心。駆け足になるところはあるが、上映時間を考えると悪くない。
冒頭のアニメーションを使ったタイトルデザインも楽しい。
自分の鉄分は薄めだが、当時の特急こだまの姿に、とても胸踊りました。
もう少し食堂車のディテールを見せてくれると最高でしたが。
主演のフランキー堺の体型に、似合わない機敏な動きや女性陣二人のそれぞれに魅力的な演技で、後半の見せ場である車外から、覗く横移動のカメラワークを生かしたサイレント映画のような表現も良かった。
川島雄三監督作としては、標準的かもしれないが、古い映画の楽しみである既に見られない、鉄道風景や情景も堪能出来る作品。
在りし日の鉄道
品川の大きな車両基地の俯瞰から始まるこの映画は、在りし日の鉄道に携わる人々の姿を今に伝えてくれる。
まずもって大浴場を備えた日本食堂の寄宿舎に驚愕。食堂車の調理係、ウエイトレス、社内販売係の若者たちが大勢いたことが分かり、鉄道の抱える雇用の大きさに感嘆する。
東京から大阪の旅は、現在では新幹線に乗って昼寝をしている間に終わってしまうが、この当時は在来線の特急こだまで7時間以上と一日がかりの旅である。車中で2食摂ることも珍しくないわけで、食堂車が欠かせない旅であることが実感できる。
先日亡くなった白川由美の颯爽たるアテンダント姿に見惚れる。現在の水準を当てはめても素晴らしいスタイル。昭和30年代でこのプロポーションは異次元であっただろうことは想像に難くない。それは、冒頭の大浴場のシーンで映るたくさんの大根脚との対比でも示されている。
この時代の先進的なプロポーションの持ち主として、北原三枝と双璧をなす。
昭和の懐かしい鉄道の旅を楽しめるこの川島雄三監督作であるが、お得意の男女のドラマはおざなりな感が否めない。小沢栄太郎と白川の絡みが少なく、あまりドラマが盛り上がらない。
こだまの長い旅、たくさんの乗客・乗務員を描こうとしているが、90分の映画にはおさまりがつかなかった。
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