「祖母を思い出し涙した」おばあちゃんの家 雨さんの映画レビュー(感想・評価)
祖母を思い出し涙した
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このおばあちゃんは唖者ですが、わたしの祖母も無口で笑顔があまり思い出せない人だった。悲しいことも悩みも全て皺くちゃの無表情の下に隠していたように思う。
サンウのわがままを超えて性悪な意地悪に叱りもせず、逆にいつもすまなそうな表情をする。
貧しい暮らしの中で、少ない稼ぎから孫の食べたい鶏を買って来たり、孫に靴を隠されてしまって山道を裸足で歩く。そんな孫に無償の愛情を注ぐ姿に涙腺が崩壊する。
食堂に行っても自分は食べず…バスも孫だけ乗せて自分は折れ曲がった体で黙々と歩くのだ。
その姿を見るだけで泣けて仕方ない。
やがてはわがままな孫にも真心が通じるけれど、長く一緒にいたらおばあちゃんのお金が底ついてしまいそうだからそれも心配。
とにかくおばあちゃん目線でずっと見てしまう。サンウがハガキと糸を通した針を用意してるのを見て、おばあちゃんは嬉しくてもきっと号泣なんかしないだろう。
感情の起伏を押し殺して暮らしているひとだ。17歳で村を出て行方知れずの娘のことも心にずっと留めてはいても、大袈裟に嘆いたりしなかったろう。そう考えて、文章にもできない言葉も発せられないんだから、押し殺すことしかできなかったんだろう。そう気づいてまた涙が流れた。わたしの祖母も貧しく教育を受けられず文盲だった。
でも何をやってもそつがなく頭の良い人だった。
このおばあさんも上手にかぼちゃを作れる。
生きる術が備わっているのだ。そんなことを思い出させてくれる作品に出会えて、本当に感謝したいと思う。
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