蜘蛛の湯女
劇場公開日:1971年11月20日
解説
江戸の初め慶長年間に出現したといわれる湯女風呂を舞台にした風俗映画。脚本は中村努と「穴場あらし」の太田昭和。監督太田昭和。撮影は「顔役(1971)」の牧浦地志がそれぞれ担当。
1971年製作/75分/日本
配給:大映映配
劇場公開日:1971年11月20日
ストーリー
ここは江戸鎌倉河岸の末広湯。今日も朝から洗い場では景気よく流し湯や、桶のひびき、湯女たちに戯れる男たちでにぎわっている。なにしろ、吉原遊廓がひあがるほどの繁昌、安くて面白く遊べるとあって、武士も町人もせっせっと通ってきた。この湯女風呂、入浴は夕方四時でしまい、上り場にゴザを敷き酒席にかわって、踊ったり歌ったりの大騒ぎ。そのうち客たちはお気に入りの女を抱えて二階の小部屋に姿を消していく。そんな湯女の一人お新にはいまわしい過去があった。恋人の友次郎と駈落ちした夜、土砂降りの雨の中で暴漢に襲われたが、友次郎は助けてくれなかったのだ。大川にとび込もうとしたところをお滝に助けられた。そのお滝も、武士の妻で、十年前夫仙十郎と仇討ちの旅にでたまま、めぐり逢えず、初めこそ生活のために恥を忍んで湯女に身を落したのだが、今は小遣いをせびりとるだけの無気力な仙十郎に愛想がつき、平気で男どもに身をまかす湯女になりきっていた。ある日、お新の居場所を捜し当てた友次郎が、いきなりとび込んできて必死にわびるのだが、お新は冷たく追いかえすだけ。二人の争いを旗本と町奴が面白半分で加勢したため騒ぎが大きくなり、湯女たちも入り乱れての大喧嘩になってしまった。数日後、お滝の仇が見つかった。悪夢のような一夜があけると、今度は、お新の人生を狂わせた遊び人寅蔵が、彼女の豊満な肉体を求めて通ってくる。心では復讐を誓うお新だが若い肉体は寅蔵の欲情のとりこになっていく。寅蔵がお新を品川の湯屋へ売りとばしたときお新は目が覚めたように復讐心がたぎる。寝屋にさそい込み、からだをあたえながら、寅蔵の首に剃刀を走らせる。