帰ってきたウルトラマン(1971)のレビュー・感想・評価
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団時朗さんから僕たちへ、ウルトラ5つの誓い
『帰ってきたウルトラマン』の主人公、郷秀樹役の団時朗さんが亡くなった。
ウルトラ主人公で初めての鬼籍に…。
私事ながら、ちょうど今『帰ってきたウルトラマン』を再見している最中なので、ショック…。
追悼コメントを出さずにはいられないので、この場を借りて。
尚この1971年劇場版は、グドンとツインテールの登場回を再編集したもの。
二大怪獣の大暴れで東京大ピンチ! 恋人アキが重傷。ウルトラマン=郷は、MATは、この危機に立ち向かう…!
『帰ってきたウルトラマン』の中でも人気のエピソード。
『帰ってきたウルトラマン』は色んな意味でシリーズの中でも画期的であった。
非常にシリアスでドラマチック。
時代設定も近未来風の曖昧ではなく、1970年代当時なのがリアリティーを醸し出す。
時々、明らかに子供向けじゃない作風も。
男女の愛憎劇が主軸のテロチルス登場回、差別を訴えた屈指の名作回『怪獣使いと少年』、レギュラーキャラが殺されるナックル星人&ブラックキング登場回…。
その回で恋人アキと兄貴分の坂田が殺されるのは子供時分でも衝撃的であった。(アキ役=榊原るみが他ドラマ主演でスケジュール困難となり降板)
加藤隊長から伊吹隊長へ、隊長交代も初。
今となっちゃウルトラ兄弟がピンチに駆け付けるのは定番だが、その最初も本作。初の宇宙怪獣ベムスターに苦戦する帰マンにセブンがブレスレットを渡しに、ナックル星人&ブラックキングに敗北し処刑寸前に初代マンとセブンが!
完全無欠のヒーローで王道の『初代マン』、大人こそ楽しめるSF路線の『セブン』とは違う、そこが『帰マン』の魅力。
それは何より、団時朗さんが演じた等身大の主人公像のお陰でもあるだろう。
『帰マン』は“人間ウルトラマン”と言われている。
特に初期は、人間的に未熟で、それ故過信し、自惚れも。
怪獣に一旦敗北する事もしばしば。
MAT隊員としても失敗続く。
挫折や苦悩を経験し、それを乗り越える。仲間とも絆を深めていく。
ウルトラマンだって努力し、訓練し、成長していく。
それを教えてくれたのが、帰マンだった。
団時朗さんがそのキャラに見事にマッチ。
当初はちと生意気な若造だったのが、いつしか頼れる“兄ちゃん”に。
それに、団さんがメチャイケメンなんだよね。昔も今も、ウルトラ主人公で一番のイケメン!
アキや新たなお相手=ルミ子の気持ちも分かるわ。
最終回で、郷から弟のように可愛がっていた次郎少年へ。いや、僕たちへ。
“ウルトラ5つの誓い”
一つ、腹ペコのまま学校へ行かぬこと
一つ、天気のいい日は布団を干すこと
一つ、道を歩く時には車に気を付けること
一つ、他人の力を頼りにしないこと
一つ、土の上を裸足で走り回って遊ぶこと
これらを思い出した時、団時朗さんはいつでも僕たちの心に帰ってくる。
君にも見える ウルトラの星
遠く離れて 地球にひとり
怪獣退治に 使命をかけて
燃える街に 後わずか
とどろく叫びを 耳にして
帰ってきたぞ 帰ってきたぞ
ウルトラマン
(尚採点は、『帰マン』総合点です)
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