「稚拙な地獄観」地獄(1979) 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
稚拙な地獄観
日活ロマンポルノの巨匠神代辰巳が手がけた一大巨編…のはずなのだがまったくもって面白くない。
不安定に揺れ動く手持ちカメラや女優に対するフェティッシュな眼差しなど、確かにロマンポルノ的な美学が感じられる箇所は少なからずあるのだが、それらだけで劇映画の尺をやり過ごすことは難しいのだなと。
当時にしては最新のVFX技術による「地獄」描写も、そもそもの地獄観の古臭さゆえ新鮮さがあまり感じられなかった。針の山とか棍棒を持った鬼とか、子供に言い聞かせる昔話じゃないんだから…
不倫・近親相姦というダーティな物語と単調で戯画的な地獄観のミスマッチが何かしら有効な映画的異化効果を生み出しているとも思えないし、マジで何がしたかったのか何もわからなかった。
コメントする