犬神家の一族(1976)のレビュー・感想・評価
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市川監督のセンスは今観ても斬新
市川崑監督の実験精神に溢れた傑作。回想シーンはモノクロで輪郭が潰れるほどに露出を上げてみたり、カラフルな花で歌舞伎像を彩ってみたり、有名な湖に浮かぶ逆さ足など、シュールな様式美は今観ても斬新。
謎解きの面白さ以上に、人間関係の陰湿さの印象が勝り、トリックの裏にはドロドロの家族関係があり、謎解きパートにはスッキリとしたカタルシスよりも人間の業の深さへの戦慄が勝る。
有名なスケキヨの白いマスクは映画が作ったイメージで、原作ではより人間の顔に近いマスクをかぶっている。この白マスクの不気味さも市川崑監督の独特のセンスによるもの。
ルパン三世で有名な大野雄二氏の劇伴も素晴らしい。昭和初期の街なみにフリー・ジャズをつけ、そのミスマッチもまた不穏な空気を与えるのに抜群の効果を発揮している。テーマ曲の「愛のバラード」の痛切なメロディーが胸を締め付ける。
スケキヨを見る為に映画館に行った邦画初鑑賞作品
「タワーリング・インフェルノ」が映画デビューなら「犬神家の一族」は邦画デビューの作品になります😁
この時点で「タワーリング・インフェルノ」「ジョーズ」を観ていて「犬神家の一族」に着地する辺り、当時のマ王の親の情操教育指向を疑う😑
今なお有名な横溝正史が生み出した金田一耕助という探偵は、後に「悪魔の手毬唄」「獄門島」「女王蜂」「病院坂の首縊りの家」「八つ墓村」「悪魔が来りて笛を吹く」「悪霊島」とシリーズ通して登場する名物探偵となる✨
が、改めてやはり事件が起き過ぎてると思わざるを得ない🌀←当然「金田一少年の事件簿」もそうだが今は「名探偵コナン」の方が事件発生率ダントツだろう
内容は犬神家の遺産を巡る殺人事件を金田一耕助探偵が解決する(ちゃんと一通り殺人が成立した後)というモノ😐
また佐清という白いマスクを被った(戦争で深傷を負ったから)人物が当時は流行してね😅←不謹慎
ドリフターズがコントに取り入れてからだった様な記憶がある(間違ってたら教えて下さい)
だからマ王も「映画館で本物を見たい」と駄々を捏ねて親を動かした(情操教育云々言ってたけどマ王が率先していた🤪)
後年、改めてビデオで観た「犬神家の一族」は市川崑監督の美しい映像と悲惨な物語が融合して思わず観入ってしまった記憶がある🥸
余談だが「病院坂の首縊りの家」のラストシーンは市川崑監督の作品で随一の美しさだと断言したい👍
佐久間良子から小林昭二、石坂浩二へと繋がるこのシーンだけでも「病院坂〜」は観る価値がある✨
内容はドロドロのズブズブだけどね⤵️
映画館での鑑賞オススメ度★★★★☆(市川崑ファンなら)
思った以上にホラー度★★★★☆(情操教育に悪い)
金田一よりコナン度☆☆☆☆☆(マ王の個人的な好き嫌い)
なんだかんだ観てしまう
スケールの大きさ、インパクト、演出、キャスティング、やはり名作だ。リメイクが失敗したのをみると、この昭和感を表現できるのはこの世代が最後だったのだろう。とくにあおい輝彦を超えることは今後も難しそうだ。
殺人事件の幹の部分は整理してしまうと意外と大したことないのだが、横溝作品の中でも話の膨らませ方が秀逸で、映像にすると何倍にもパワーアップする。
テレビ放送ではよくカットされてしまう部分までノーカットでしっかり観ると犯人の動機がより明確になる。
何回観ても面白い
今日見たらこれ地井さんだったんだとビックリしたので数十年ぶりに観たと推測。
それでもほとんどのシーンは覚えていた。
足のシーンに効果音が無くかなりあっさりしてて記憶を上塗りしてた。
角川映画の特徴である忌わしい回顧シーンは大体強/姦だが、面倒なルールに引っかかるのを「避ける」ために敢えてギリギリまでシルエットをぼかしたのかと合点がいった。
そしてそのハッキリしない画像が過去感を醸し出していることにも唸った。
また日本の一昔前の時代に於いて、地方の地域社会での女子供・弱者の蔑まれた扱われ方を娯楽映画に上手く導入しつつ人気映画となった作品だと思う。
その面から言うと雛型になるが、ギリ昭和世代でないと分かりえない映画になってしまったかもしれない。
おかわり自由
子どもの頃から何回も観てるけど、
いや、やっぱり魅せてくれるわ。
子どもの頃は長く感じた場面も、おっさんになってから観るとムダに見えるシーンがあるからこそ、味わい深いものになっていることに今更ながら気づかされます。
大野雄二さんの曲ってどれもルパンに聴こえるんだけど、映画・ドラマ・アニメ・特撮…どんな作品にも合ってしまう不思議な音楽ですね。
それと、よくパロディにされる有名なカットも意外とあっさりで、人間の記憶って関連したイメージに左右されるんだなあと思いました。
映画でよく、存在しないシーンを絶対観たとか論争してるのあるけど、自分の記憶は信じないほうが良いね。
特に、子どもの頃に観たものはね。
だから、機会があれば躊躇しないでどんどんおかわりすべきだと思うのです。
面白い作品は何杯でも、どうぞ。
すーけーきーよー
とにかくビジュアル面さいこー。あの白いゴムマスクといい、菊人形といい、足ニョッキリといい、語り継ぐべき昭和遺産! NHK-BS版もがんばっていたが、やはり市川崑版は強力。
BS日テレの放送を録画視聴。
見るたびに新鮮な感動を覚える娯楽大作
有名な原作ものなのでストーリーは映画の評価としては触れない様にするが、数ある横溝作品の映像化の中では最も原作に忠実に作られていると思う。
もちろん個人の感想になるが、市川崑の数ある秀作の中でも出色の出来で日本ミステリー映画の金字塔である。
オールスターキャストで世界的にヒットしたオリエント急行殺人事件をヒントに、スター俳優達が端役から総出演しいるミステリー作品のため見るだけでも楽しめ、かつ配役だけ見ても犯人が絞れないような効果もしっかりとある。
撮り方自体も本当に面白く、ストップモーションとコマ送りの繰り返しで焦燥感を演出したり、残酷なシーンは白黒反転させる事で直接的な表現を避けつつ緊迫感を増幅。
中でも犯行シーンの振り返りで佐兵衛が松子に指示を出しているかの様に遺影をうまく使った描写は鳥肌が立つくらいのインパクトがあった。
この作品から常連となる坂口良子は当時21才と若さと美しさのピークでこの映画を見る時の楽しみの一つでもある。
女中(坂口) 「全部私の手作りなんです。何が一番美味しかったですか?」
金田一(石坂)「生卵」
最高の掛け合いw。
青沼静馬に指南したい
これまで幾度となく観てきた作品だが、名作は4K画質でこそ観るべしと思い購入した。
縦横比に対して多少の不満はあったものの、ディスクの画質そのものはさすが4Kと感じさせるそれであった。
この作品は全体的に照明を落とし気味に演出した場面が多いが、そうした箇所も鮮やかに出色している。
主体俳優の背後にいる客体俳優さんたちの表情もしっかりと感じ取る事が出来た。
でもねー?
どなたかの御指摘のように血糊のつくりもの感とか菊人形の上の顔とか、あれわざとあんまりリアルにしなかったのかしら?
この映画を観るたびに思うのは、一番可哀想なのは青沼静馬だと思うよ。
母子家庭で苦労して戦争で顔を焼かれ挙げくは湖で逆さに浸けられてね。
彼は復讐の仕方を間違えたんじゃない?
あれ遺書の通りならば、
珠世に相続権を喪失させて、
犬神奉公会の人にアプローチすれば40%相続(犬神奉公会には内20%寄付必要)できたし、
もうひとつは
何らかの方法で遺書を破棄とか無効化させたら、法廷相続人の第一順位は彼と3姉妹の計4人だからね。これだと25%。
従って
3姉妹と一旦、手を組む選択肢もあったね。
短気は損気って本当だね。
復讐心よりも冷静になって考えれば、おもいっきり金かけて顔治したら珠世よりもいいネーチャン100人ぐらい囲えるよ。
そしたら又、犬神家の一族の未来編が始まるけどな。
偶然の集積を解明した金田一はそりゃ名探偵だわ
珠代と女中のはるが大変美しい。現代でもトップクラスに可愛いぞ。美の基準は当時と変わってないのか。
途中までは独特の雰囲気で良かったが、後半いまひとつ。力技なんだよなあ、なんだか。華麗なトリックや謎解きが欲しかった。佐清も言っていたがほんと偶然が重なりすぎ。。最後には「全ては偶然の集積でした。」なんてぶっちゃけちゃってるし!
それにしてもよくわかったな金田一くん。。
島田陽子23坂口良子21
4Kリマスター版を2kダウンコンバート版ながら日本映画専門チャンネルにて放映されたことを期に鑑賞。Amazon primeにもあるが画質音質の差異は驚異的であり、フィルム作品のデジタル化の意義を実感する。
本作角川映画の第一作だが、角川春樹が34で大作の自社制作を実現しブームまで巻き起こした事は様々な風聞にもかかわらず尊敬するところ。
それよりもなによりも、とにかく島田陽子が美しく坂口良子が可愛い。
昭和の大女優の競演
松子・竹子・梅子のこの風格なしには、陳腐な映画になってしまう。
上品さ・気品を圧倒的にかもしながらも、成金のいやらしさもまき散らす。
この三人との対比で、清楚で上品なのだけれど肩身の狭い珠世が、天女のように際立つ。
その間をとったような小物感を見せてくれる小夜子。
よく考えると、この一連の事件では、最も割に合わない処遇を受けている人で、かわいそうなのだが、全面的に擁護する気にはあまりならない。犬神家の人々の扱いによって、珠世が『シンデレラ』か『落窪物語』のヒロインのようなイメージを持ってしまっているからか。
そして、犬神家とはまったく別世界で、貧しいながらものびのびと屈託なく生きているのが、ホテルのお手伝いさん。彼女がいて、ほっとする。
加藤武さんの、ちょっと間抜けな警察官(清涼剤)。
石坂さん演じる金田一でさえ、コミカルで…・
映像のインパクト。
情緒をかき乱される音楽。
緊張を煽るカット。清涼剤・息抜きシーン。そして、それぞれの登場人物の情緒をたっぷりと味合わせてくれるシーン。
凝りに凝っていたが、
それも、この俳優陣の布陣なればこそ。
都会育ちの私には、地方ってこんな風に恐ろしいしがらみに縛られているところなのかって、変な偏見を持ってしまった映画。
取り合っていたのは、お金?父の愛情?
陰で糸を引いていた人物は何をしたかったのか?血族の抹殺?
推理には、いろいろ突っ込みどころはあるけれど、
画の重みと言い、役者の立姿と言い、音楽と言い、何度も見入ってしまう。
結構うまくやってたぜ
角川映画祭4K修復版
もう何度も観ている犬神家
子供の頃テレビで家族で観ていたとき佐清がマスクをとる瞬間、「おやすみ…」と言って自分の部屋に逃げたのは微笑ましくも忘れがたい記憶
松子竹子梅子の3人の女優はもちろんだが、この齢になると加藤武や小沢栄太郎等の脇の上手さに目が行く
謎解きより親子の愛憎入り交じる物語となっているが、そう考えると坂口良子は色んな意味で感慨深い
何度も見たのにまた発見が…。
高峰三枝子の美しさと演技が結末に向かって凄惨さを増し息子への愛と優しさが満ちていく。ご無事で生きて帰ってきてくれて…。同じ立場だったら自分もそうするかも知れないと思った。
因果応報の根っこは犬神佐兵衛、それが三國連太郎とはーーーーー!知らなかった!「悪魔の手毬唄」も素晴らしかったがやはり犬神家。市川崑の映画のかっこよさが詰まっている。ザ・日本の自然と家屋の美しさを引き立てる映像(瓦のなんて美しいこと)、照明(だんだんと暗さに向かう部屋の陰り)、オープニング・クレジットのあの文字の大きさとフォント、途中で挟み込まれるセピアやモノクロの映像や静止画と古びた写真(三國連太郎、確認!)、金田一を中心とした切り替わりの早い会話場面、女優陣の役に合った着物と着付けと指輪(草笛光子の開け気味の衿と大きく赤い指輪がとりわけよかった)、メイン音楽のメロディーライン(大野雄二)の美しさと湿気に胸が締めつけられ、映画の中では乾いたジャズ。かっこいいー!
今の邦画では残念ながら全く不可能な、豪華で素晴らしいキャスティングでした。これが当時の金田一シリーズの醍醐味でもありました。宿屋の主人で原作者横溝さん、警察官で角川春樹さんも出演してましたね。佐清は目が重要なのであおい輝彦、適役でした。
そうだったのかー!ショック!だったのが佐兵衛(三國連太郎)と彼のいわゆるパトロンとの関係でした。公開当時もその後もわかってなかった。自分が愛した最初で最後の女性がパトロンの妻でありそのパトロンとも恩義がある故持たざるを得なかった関係は生き地獄だったに違いない。
しっかりと覚えていたのはお琴のお師匠さん(岸田今日子、適役!)の言葉でした。弟子がどの指を怪我したか、それを庇ってお琴を弾いてることもお見通し。何度聞いても痺れる岸田今日子の声と台詞💕
島田陽子さんも適役でした。最初に一人でボートに乗って水没しかかったのに、また一人でボートに乗って昼寝してるのは剛胆なのか鈍感なのか計算づくなのかよくわからなかった。
【石坂金田一シリーズ、第一作。”湖から突き出た2本足のシーン”が強烈な印象を残す。今作の大ヒットにより、シリーズ化が決定した記念碑的作品。】
◆今作が、その後の”石坂金田一シリーズ”の礎を築いた。その功績は大きい。
一方、角川映画を毛嫌いした人がいた事も事実であるが、私は映画界に残した、功績を買いたい。
■感想
・キャスティングで、誰が犯人かが分かってしまう、”安心感”。
ー 金田一映画シリーズの特長である。出演俳優の中で、一番の実力女優・・。ー
・土俗性、もしくは一族に伝わる伝承、もしくは家訓の巧みな使い方。
ー 今作では、犬神家に伝わる三種の神器、斧(ヨキ)、琴、菊である。ー
・キャラクターの多さ及び、複雑に入り組んだ家系。隠された血縁関係。
・石坂”金田一”の頭を掻きむしったあとのフケを含めたお決まりの仕草。
・大仰な音楽。
ー 今作の哀愁を帯びたテーマソングは、昭和後期生まれであれば、一度は耳にしたのでは?ー
・”そうか、分かった!”が口癖の、全然分かっていない橘警部(加藤武)
・最後は、”何だかんだあったけれど、良かった、良かった”で終わる、今作がヒットした事が良く分かる幸せな結末。
<年齢的に、リアルタイムで映画館で観た事はないが、”お決まり感”と、残虐描写。
そして、後手後手の、金田一耕助名監督の推理。
貶しているようであるが、これらを丁寧に描く市川崑監督の映画作りが良いのである。
そして、物故者が多くなってしまったが、”昭和”の名役者さんたちの姿。
事件のあらましを、皆を集めて説明する金田一の前で、真犯人が自害する・・。
何度観ても、オモシロイのである。>
今見ても色あせない不朽の名作
こういうと月並みだがまるで古さを感じない。
演出の妙であると思うが誰が死ぬかが予期できなかった。いや、なんとなくはわかるのだが誰から死ぬのかがわからないし、唐突に死体が出るさまはこちらの意表を突かれたような驚きを感じられる。
死体の描写も鮮やかでまるで飾られる芸術品に見えるがおどろおどろしいし、いちいち奇抜でこちらの目を引くような作りだ。
この作中の時代設定が戦後だとは思うけどぱっと見それとは関係なく見れるし、とてもきれいだから果たして何年ごろかわからないような、不思議と昔と現代が重なって時間が止まっているかのような街並みで見ていて飽きない。
それにしても石坂浩二が思いのほか童顔で驚いた。
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