「どうしようもないやりきれなさ」伊豆の踊子(1974) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
どうしようもないやりきれなさ
総合:75点
ストーリー: 85
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 40
原作を読んだことがないのだが、物悲しいやりきれなさが残る良い物語だった。旅芸人をして生活をする貧困の一家に対する世間の目は厳しく、彼らがいい人たちであるがゆえにその侮蔑が際立つ。彼女は彼が去った後も踊り続ける。刺青をしたやくざものにからまれながらでも、踊らなければ生活が出来ない。それが彼女の生まれながらのさだめ。二人の気持ちは純粋なもので、それだからこそ埋められない社会的地位による溝の深さからくるどうしようもないやりきれなさが残った。
だがこの映画の時代に合わない場面場面に現れる昭和歌謡的な音楽が、大正時代の雰囲気を壊していたように思う。現代的な音楽を使うにしても洗練された時代を感じさせない普遍的なものだったらまだ良かったのだが、これは平成時代にも大正時代にも合わない時代錯誤なものだった。
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