劇場公開日 1986年4月26日

「鮮烈あ・げ・ま・す」メガゾーン23 PARTII 秘密ください 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5鮮烈あ・げ・ま・す

2023年2月4日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

難しい

美少女×歌×メカの『マクロス』路線で1980年代OVAの名作となった『メガゾーン23』。
その続編。

1980年代の東京は偽りの世界で、本当は巨大都市型宇宙船の中。コンピュータ“バハムート”の管理下。
そのバハムートに反旗を翻した軍。まだ完全掌握とはいかず、以前戦争状態。宇宙からの脅威=デザルグも忍び寄る。
そんな中、AIアイドル・イヴがかつての姿=イヴの亡霊として現れ、ある人物に呼び掛ける。
軍に殺された友人女性の濡れ衣を着せられ、姿を消していた省吾。
友人の暴走族の力を借り、由唯とも再会。呼び掛けに応じて再び姿を現す…。

…姿を現さない。いつまで経っても登場しない。
いや、とっくに登場していた。まるで別人。
前作の『マクロス』チームからスタッフの多くが入れ替わり。キャラデザインを後に『A KITE』などで人気監督になる梅津泰臣が担当。
1980年代のSFアニメ風から劇画タッチのキャラデザインに。
印象がガラリと変わり、本当に別人。さらに省吾は声優も変わり、由唯はグリーンヘアからブロンドに。しかも途中からショートに。
何だか実写で言うと、キャストを変更しての続編みたいな。
やはり当時前作とは違うキャラデザインに賛否の声が上がったらしいが、梅津は名を知らしめるきっかけになったという。

変わったのはキャラデザインだけじゃない。
よりハードSFに。グロい描写もあり。
前作もラブシーンなどアダルトな描写あったが、もっと濃厚に。アニメーションであれほど艶かしいラブシーンも珍しい。
スケールもアップ。前作はあくまでメガゾーン内での攻防だったが、デザルグの攻撃、月防衛システム=ADAMの始動、崩壊するメガゾーン…。
イヴが打ち明ける驚愕の真実。それは哲学的でもあり、人類が500年前に捨てた筈の地球の未来、託された人類の行く末にまで至る。

キャラデザインや作風の変化、なかなか難解ハードで好き嫌いは分かれそう。
一応希望感じさせるラストだが、痛快スッキリとは言い難い。
今回結構小難しかったなぁ…。
でも、イヴの歌声と共に繰り広げられるクライマックスは圧巻。『マクロス 愛・覚えていますか』に引けを取らない。
それも含め、今尚鮮烈。昨今のジャパニメーションの先駆だ。

近大