劇場公開日 1985年8月3日

「不発シーンの連発」ラブホテル milouさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0不発シーンの連発

2024年3月29日
PCから投稿

『お引越し』はすばらしいのですが、これは要するに天性の映像感覚にめぐまれなかった監督が努力でなんとかしようとしている映画。ロングシークエンスがうまく行っているのは冒頭のふたつくらいで(タイトルまでのオープニング、空になった雑居ビル内)、あとはしゃらくさい印象しか残さないですね。とくにダメなのは波止場。

なぜダメか。照明と美術がダメなのです。予算も時間も足りなくて、途中で妥協して撮影したのがみえみえです。画角もうまくいっているところはあるけども、カメラマンを変えすぎて一貫しません。脚本もあまりにばかばかしくて、なんだか映画学校の作例をいくつも見せられているようです。所詮はロマンポルノ。とりわけエンディングロールの感覚は、通俗の極みですね。こんなのを名作秀作と持ち上げてちゃダメです。

タクシー車内の運転手と客をワンショットで収めて、二人の顔を見せたり隠したりしながら会話をさせるロングシークエンスのように、創意がうまくはまっているショットもあるんですけどね。

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milou