想い出のアン

劇場公開日:

解説

太平洋戦争に至るまでの五年間の、暗くきびしい時代を背景に、カナダ人医師の娘と日本人牧師の息子との幼い恋を描く。和田登原作の『青い目の星座』の映画化で、脚本は「翼は心につけて」の寺島アキ子と「太郎先生とわらしっ子」の渡辺由自の共同執筆。監督は「難病『再生不良性貧血症』と闘う 君はいま光のなかに」の吉田憲二、撮影は「巣立ちのとき 教育は死なず」の杉田安久利がそれぞれ担当。

1984年製作/118分/日本
配給:共同映画
劇場公開日:1984年11月23日

ストーリー

昭和十一年。長野県・小布施教会。野宮周平牧師は、妻・元枝と10歳になる息子・周作と共に、カナダ館に赴任してきたリスター医師を出迎えた。リスターは、妻・エリザベスと7歳の娘・アンを連れてきた。彼らは音楽一家であった。周作とアンは、直に仲よくなる。戦況が激しくなり、教会はカナダの援助を打ち切り、自給に踏み切った。五年後、教会では、カナダに帰るリリアス・パウルと召集する隣接の聖ペテロ療養所の高橋五郎医師の送別会が行われた。が、そこにも「解散しろ!」と刑事が踏み込んでくる。村人達のアンに対する嫌がらせが始まった。教区本部からも、リスターの帰国を命じてきたが、彼は日本の結核患者のために働きたいとそれを拒む。長野県では、療養所を青少年練成道場にするからと閉鎖を言い渡してきた。が、周平は突ぱねる。日米開戦になり、リスター一家は警察に連れて行かれ、軽井沢に収容された。周作は友人・若林とアンのいる別荘を探しに軽井沢に出かけるが、見つけられずに帰途した。その夜、周平が反戦容疑で逮捕された。リスター一家は、スパイ容疑でカナダへ強制送還されることになった。リスターは、スイス公館を通じて、帰国前に演奏会を開く許可を得た。そして、教会に置いてきたバイオリンをアンが取りに行くことになる。周平は、療養所の献納と、教会の十字架を外し国旗掲揚を条件に釈放され、周作が迎えに行った。その頃、刑事に護衛されて教会を訪れたアンは、周作に会えず明日の朝、戻らなくてはならないと言い残し去った。戻ってきた周作は、急いで追いかけ発車間際の電車に飛び乗る。そして、アンを見つけるが、彼女は刑事に囲まれていて言葉は交わせない。アン達がスイス公使館に向ったと知った周作は、追う。窓辺で泣いているアンの前に周作が現れた。演奏会の後、リスター一家を乗せた軍用トラックの前に周作が飛び出すが、二人は引きはなされる。アンは必ず帰ってくると叫んだ。だが、カナダに向う交換船の中で病死した。

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