綿の国星
劇場公開日:1984年2月11日
解説
いつか人間に変身することを信じている生後2ヵ月のメス猫の姿を描くアニメーション。少女雑誌「LALA」に連載中の大島弓子原作の同名漫画のアニメ化で脚本は「21エモン 宇宙へいらっしゃい!」の辻真先と大島弓子の共同執筆。監督は、辻伸一がそれぞれ担当。
1984年製作/92分/日本
配給:ヘラルド映画
劇場公開日:1984年2月11日
ストーリー
どしゃぶりの雨の日、ノイローゼ気味の浪人生・須和野時夫は行き倒れの猫を拾った。彼はその真白い小さな猫にチビ描という名をつけ、つきっきりで看病した。時夫のお母さんは、ちょっと触れただけで硬直状態になり熱が出るほどの猫嫌い。しかし、時夫のノイローゼが治るのならと、必死の覚悟で飼うことを許してくれる。時夫は予備校をサボタージュしてチビ猫を公園に連れて行った。チビ猫は幸せいっぱいだったがみつあみをした美少女・美津子に出会って心が動転した。時夫は彼女に恋している様子だったのだ。チビ猫は、人間には二通りあると思っていた。一つは人間の赤ん坊からおとなになる場合。もう一つは、猫がある時変身して人間になる場合と。そして自分はいつか人間になって時夫の恋人になると夢みていたのだ。みつあみが時夫をとってしまう前に人間になろうと決心したチビ猫は、「早く人間になれ」と念じながら満開の桜の木から飛びおりた。そこに突然「そんなことをしても猫は人間にはなれない」という声がする。桜の枝には、銀の毛並みに緑の目をしたこの世のものとは思われぬ美しい猫・ラフィエルが月の光を浴びていた。彼は綿の国の夢物語を語った。綿の国とは、身も心も沈み込むような一面の真綿の原の国で、そこにはホワイトフィールドという美しい猫のお姫様がいて、辿り着いた者にやさしくキスしてくれるという。そして彼は、チビ猫が彼にとってのホワイトフィールドで、一緒に旅に出ようと愛の告白をする。翌日、人間になるのは不可能だと悟ったチビ猫は、須和野家を出、悲しい心のままラフィエルの住む竹薮へと急いだ。しかし、そこには彼の姿はなく、チビ猫はラフィエルを求めてさまよう一方、須和野家ではいなくなったチビ猫に大騒ぎ、お母さんはどんなことをしてでも探し出すと誓う。雨の中、チビ猫はいつの間にかあの竹薮に戻っていた。「ラフィェル!」と叫ぶチビ猫。その時葉陰で音がした。ふり向くと、手にミトンの手袋をはめ頭巾を被ったお母さんがいた。こわごわチビ猫に近づいたお母さんは、手袋をとり素手でチビ猫を抱きしめた。