「こんなにも歌がうまいなんて!観て良かった!」ボンゴマン ジミー・クリフ しゅま子さんの映画レビュー(感想・評価)
こんなにも歌がうまいなんて!観て良かった!
ものすごく荒いドキュメンタリー映画だとは思うけれど、
綺麗に整えすぎたり、周りの人間がカリスマを得意げにほめたたえる今の音楽ドキュメンタリー作品よりも、ずっと、伝えたいことが伝わってくる。大事なところがすんなりと。
もう最初の場面からびっくりした。
暑くなってきて、あー、レゲエでも聞きたいねえみたいな気分で聞きがちなレゲエの歌が、
地に足ついた現実を、妄想じゃなくてそのまんまに歌ってるんだな!と。
映画の中で出てくる語りや言葉が、すうっと心に入って来る。
過酷な状況から抜け出そうというメッセージが、まったくうっとおしくなく、
ダイレクトに受け入れられる。
誰か戦争を止めてくれって歌っているときに、今の時代だってそれ必要だし、これほどまで、本気で伝える歌を歌える歌手が今いるかどうか?って思った。
聞いていて、本当に、そうだよね、、、、って聞いた方が感じる。
バンドの演奏も上手くて、こんな社会的状況の国で、よくもまあ、こんなに上手い!?
ジミークリフが仲間たちについて話す時も、誰かの話を聞いているときも、謙虚な態度で、歌っているとき以外も、つねに問題についてなんとかしないとと考えているというのも観てわかる。凄い真面目だし、アーティスト的な研ぎ澄まされた雰囲気もこの映画で初めて知った。
緑のジャングルの広がる風景を前に、叫ぶように歌っているところも、
南アフリカでの歴史的快挙となったステージでも、小屋みたいなライブ会場でも、
本人自体の歌のうまさが飛びぬけてるのが分かる。
歌のうまさの安定感、レベルが違う。
ジャマイカの歴史や、社会的状況、ジャマイカの人たちのことも少しでも知れるというのも貴重だし、心に響く言葉もいくつかあった。
古い映画だけれど、ジミークリフの本当に心を込めた歌をじっくり聞くことができて、
ただCDやネットで聞いてただけの歌が、こんな風な状況で、こんなに一生懸命歌ってたんだ、この人こんなに歌がうまいんだっていうことがよくわかって、良い映画だった。
ジャマイカの国の綴りの意味がまた驚き。本当なのかな、、、
団結して、世の中をよくしていこうとするために、歌う、それも本当の本気で・・・色々と考えさせられたし、今まで好きで聞いていたジミークリフの曲の聞こえ方にまた違うものが加わって、よりしっかり聞くことが出来そうだと思った。
ジャマイカの人ってほんとジャージの上が良く似合う。
現地語で話してるときの緩さや、動きが、今の自分たちの日常とあまりにも違っているのも、ものすごいスモークの吸い方にも目がいった。
シンプルなのに盛りだくさんの内容で、余韻もすごくて、レビューが滅茶長くなってしまったw